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1991年ソ連旅行(8)

 次の日は国際列車を手配した旅行会社が指定したホテルに移動します。僑園飯店からそれほど遠くないところにある「前門飯店」がそのホテルです。ちょっとした高級ホテルです。当然私が支払った旅行代金に含まれています。事前の段取りではこのホテルにチェックインしたら日本の旅行会社に電話し、そこで指定された現地の旅行会社で国際列車の切符を受け取るという段段取りです(このあたりちょっと記憶があいまいです)。ところでなぜ旅行会社が指定するホテルに前泊するかというと、現地で切符を受け取るための段取りとして必要だから、のようです。

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 指定された旅行会社は、あの一流名門ホテル(だと思います)である北京飯店の中の一室にあるとのことで、そこまでバスで移動します。その旅行会社は北京飯店の1階フロアで営業しているのではなく、客室階の中の一室に事務所を構えているようです。なぜそんなところにあるのかと思いましたが、あとあと中国を旅行してみると、そういう部屋の使い方は中国ではごく一般的なようです。

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 そして旅行会社にたどり着き、めでたく国際列車の切符を受け取りました。北京からイルクーツクまでの2等寝台車です。切符はよく見ると中国語とロシア語、あとローマ字がありますがこれは英語ではなくおそらくドイツ語で書かれています。何故ドイツ語なのか不明ですが、当時存在した東ドイツという国にちなんでのことでしょうか。ザ・共産圏!

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 この旅行会社での用はこれで済んだのですが、ここの社長さんが太っ腹にも社員を一人、一日ガイドとして使ってくださいとのこと。なんとなんとこれはありがたいお申し出。実は私は北京の新華書店で「二十四史」の書物をいくつか購入したいと考えてたのです。二十四史とは中国の王朝の正史24書のことで、いちばん有名なのが司馬遷の「史記」です。今こそ大学5年生(留年生)ですが、かつては東洋史の研究者を目指していたこともあり、その記念となるものを欲しいと思っていました。そこで本の購入とそれを日本へ送る郵便手続きを手伝ってもらう(実際には丸投げ)ことにしました。ちなみにこの旅行会社の方々との会話は日本語で、さらにどうでもよいことですが、社長のお名前は「毛亜東」という、かつて中国で一番偉かった人と名前だけそっくりさんです。

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 北京飯店の近くにある新華書店で何十冊もの本を買って、それを北京飯店内にある郵便取り扱い所まで持ち込み布製の小包にして郵便に出しました。ものすごく助かりました。地球の〇き方には郵便小包の出し方の説明があったのですが、とても自分の手に負えなさそうでしたので、あっさりとミッション完了です。もっとも少々ガイドさんをこき使ってしまったのか(私としてはそんなつもりはなかったのですが)、手続きが終わったらガイドさんから「カゾクキトク、シキュウカエリタシ」との連絡が会社から入ったので急遽帰ります、と言われてしまいました。本当かどうか今となってはわかりませんが、私としてはこれで十分です。

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 北京飯店から南下し「天壇」を通って西へ向かうと今日の宿である前門飯店です。明日はいよいよこの旅行の本番といえる国際列車乗車です。

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