2017~2018年旅順+ソウル旅行(3)
私の大連での定宿、大連日航飯店。20年ほど前までは一泊数百円程度の大部屋に泊まる旅行をしていましたが、今やその十倍もするホテルにしか泊まれないブルジョワ旅行者になり果ててしまいました。
この日は韓国のソウルへ行く日ですが、まだ時間があるので、少々外をほっつき歩きます。
大連の街はあちこちに歴史的な建造物が残っていて、それも満洲国関係のものも少なくない、というかロシアが基盤を作り日本が作り上げた街なのでほとんどがそれで、モノによっては随分荒れ果てたりしてはいますが、その存在が中国の他の街とは違った雰囲気を作り上げているような気がします。
日航飯店前の路面電車の停車場「民生街」から電車に乗り、二つ目の「世紀街」で降ります。降りた進行方向右側に赤色の大きな建物「旧満鉄調査部」が見えます。今は何かに使われているのか、ちょっと外から見ただけではわかりません。
大連は、他の街と比べて日本人潜伏率が高いのでしょうか、あちこちとまでは言いませんが、看板に日本語が表記されている食べ物屋が多いです。このあたりの店は日本人が食べに来ることを当てにしているのでしょうか。
もう少し先、魯迅路との交差点にたどり着くと、右手に瀋陽鉄道局大連鉄道事務所が見えてきますが、ここはもともとは南満州鉄道株式会社の旧本社屋です。ここにある旧満鉄総裁室と会議室が「大連満鉄旧跡陳列館」として見ることができるようになりましたが、見学者が来たら開けるということです。ここへ来る前に、大連日航飯店で見学申し込みの電話を入れてもらいましたが、繋がらなかったので直接来てみました。
入口らしきところに近づいてみると、電話番号が二つ案内されていて、下の方の番号がガイドブックに記載されていた番号なので、自分のスマホからダイヤルしてみましたがやはり反応はありません。上の方の番号をダイヤルすると応答がありました。たしかに日本語OKでしたが、今はこの場には担当者がいないとのことです。残念ですが見学はまた今度にします。
大連空港までは地下鉄で移動します。特に大きな荷物があるわけではないので、タクシーの方が楽ではありますが、地下鉄で十分です。
ソウルまでは中国南方航空を使います。ちなみになぜ中国の東北地方なのに南方航空が飛んでいるのかというと、かつて中国では中国民航のみが存在していましたが、あまりにもサービスがすんばらしいので分割民営化を行い、北京の国際航空CA、上海の東方航空MU、広州の南方航空CZ、西安の西北航空WH、東北地方の北方航空CJ、成都の西南航空SZ、ウルムチの新疆航空XOなどなどに分割されました。しかしながら各航空会社間の競争激化によって体力のない航空会社を吸収する再編成が行われ、今の体制となりました。南方航空は北方航空や新疆航空と合併しましたので、旧満州や新疆によく行く私はなにかと南方航空と縁があるわけです。
ソウルまではほぼ1時間です。かつて特に年末は大連に行った帰りにソウルに寄るということをよくしていました。ソウルには定宿「大元旅館(デウォンヨグァン)」という「約束の地」があり、そこで同志たちと1年ぶりの邂逅を祝うというのが年末の恒例行事でしたが、その定宿も今はなくなってしまいましたので、ソウルとはやや疎遠になっていましたが、今回久しぶりに寄ります。
ソウル仁川空港からはリムジンバスで街中に向かいます。そしてソウル市庁前ロータリーの一角にあるプラザホテルでバスを降ります。今日はその隣にあるプレジデントホテルに泊まります。セントレアでの帰国便予約間違い事件があったので、ここの予約も大丈夫かと少し心配しましたが、大丈夫でした。
大晦日なので宿泊代は高かったですが、部屋の階も高かったのでいい景色です。これでガウンを羽織って高級ワインを片手にしながら、下のロータリーにある特設スケートリンクでひたすらぐるぐる滑っている民衆に向かって「知的水準の低い大衆どもめ」とツイートすれば、気分は石〇慎太郎元東京都知事です、あくまで気分です、念のため。
プレジデントホテルの部屋のテレビはNHKが入るので、紅白歌合戦を鑑賞します。
わたしはもともと紅白に何の思い入れも抱かないアナーキーでニヒルな人間でしたが、10年前の大晦日に滞在していた丹東という世界の片隅のような街のホテルの部屋で鑑賞した紅白はなかなか心に響くものがありました。窓から見える真っ暗な闇と寒さに沈む北朝鮮の存在がその気分を煽っていました。
というわけで、ずっと紅白を見ていましたが、眠くなってしまいましたので、最後まで見ないで寝てしまいました。
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