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教えて!ボートの日本代表選考2023

どの競技でも日本代表選考方法が面白いです。
何月時点の世界ランキング上位を選ぶ、だったり、
この大会に勝ったら選ぶ、だったり、
記者会見でいきなり発表、だったり。

誰が日本代表になるか、なれるかは、
選手にとっては人生を賭けた大イベントで、
応援している側としても、めちゃくちゃドキドキする瞬間だと思います。

代表選考方法の面白いところ・難しいところは、
やろうと思えば、簡単にもできるし、どこまでも複雑にもできる
ということです。

①この日に勝った人、上位だった人が選出!代表!
という考え方なら超絶一番わかりやすい選考です。私としては非常に面白い。

②何か月後の本丸の世界大会で勝てそうな人を協会が選出!代表!
という考え方だと,非常に複雑怪奇になりやすいです.勝っても代表とはルール上決まってないので、あとは協会の会議室で考えます!、となるので見てる側としてはムズムズします。

要は,勝てそうな人が何かのトラブルで棄権して、勝てそうじゃなかった人がもし勝っても,
「でも世界大会で勝てるのは別のあの人でしょう」という難癖をつけやすいし,つけられやすい.

最近代表選考で問題になりやすい競技になってしまったボート(現ローイング)競技は
②勝てそうな人を選ぶ!を中心にしていることが多いように思います.

「勝てそうな人」を選ぶ,というのは誰も未来を予測できない点において,そもそも不可能なのですが,
「勝てそうだなあ」「勝てなさそうだなあ」という主観が大きく入るため,自由自在になります.

サッカーやラグビーなど、チームスポーツにおいては、
監督が「俺がそう思った」で済む話で、結果は監督の責任、そして監督を選んだ側の責任となるのでしょうが、

水泳や陸上、ボートのようなタイムスポーツの場合、タイムや結果を度外視して
「俺がそう思った」とは,さすがに言えないので

「総合的に判断して選出」
「○○での準決勝のタイムを評価して」

など,
だいたい後出しで理由を述べて選出することになります。

選考方法についても,あまりに単純だと,後で「総合的に判断」できないので,非常に難解・複雑にする傾向があります.

そして難解にした方が、選手が不満をもっても、
共感してくれる一般の方、メディアがいない
ので、
選考方法を作る側としては、難解に難解を重ねた方が有利なんじゃないかと思っています。

例えば、
今のローイング競技(ボート競技)の代表選出方法は非常に難解・不明瞭です。
「本当にわからない」、と昔知り合いの弁護士の方が言ってたぐらい、専門家でも難読文字です。

最近やっと世界選手権に出場する日本代表が決まりましたが,
どういう経緯を経て,どういう勝負に勝って,
代表が選出されたかご存じの方いますか?

軽量級の選手の場合,
とりあえず3月の1人乗りのレースに勝つ.
4月の2人乗りのレースに勝つ.

それはみんな知っていると思うのですが,
そのあと一体どういうレース,
どういう評価があって,
そしてオリンピック種目ではない軽量級一人乗りの種目の日本代表を選出した理由.

これ本当にわからないのです.
3月のレースに勝つ,
4月のレースに勝つ,まではルールで書いてあったのですが,
それ以降,どのレースで勝つ必要があるのか,
どのレースが一番大事なのか,
勝つことが大事なのか,タイムを出すことが大事なのか,
タイムなら何秒必要なのか,
など,全部不明です.(知らないの自分だけ?)

要は全部後出しなのです。
そもそも何のための選考かすら書いてない。

こうなったら、こう。
こうなったら、こう。
と先に書いてあるのが普通のルール、スポーツなのですが、
代表選考の場合は、4月以降、いつ、どう、何が評価されるのか
少なくとも私のようなファンぐらいの人にとっては何も知りえません。

もしこれが選手にも伝えられていなかった場合、
非常に問題です。何が問題かと言うと

難解かつ後出しの選出方法のデメリットは、
選手がどのレースにピークをもっていけばいいのかわからない
・人事権のあるヘッドコーチが絶対的になり、選手とコーチが対等はあり得ない

誰も応援しなくなる(いつ選考かわからないので応援しようがない)ことになります。

いつ、どこで、どのレースで、勝てばよいかわかってるから全力を尽くせる.
いつ,どこで,どのレースで勝てば,応援している選手が日本代表になるのか、オリンピックに出られるのか、わかるからこそ応援にも熱が入ります。
もちろん、決まった選手に対しては応援できますが、その過程において、何がどう大事なレースかわからなければ応援しようがありません。

ファン「どのレースに勝ったら代表になれるの?」
選手「わからないんです」

選考が不明瞭だった時、
この会話を何度繰り返さなきゃいけないか、ご存じでしょうか。

ルールの事前説明は非常に大事だし,それがスポーツなのです.
「野球は9回裏終わりまでに勝ってた方が勝ち」とか、
「この7連戦で勝ち越した方が勝ち」とか、
知っているから応援できるのです。
エンドレス、「やっぱ9回表の2点は20点とするわ」とか,
不明瞭&謎&後出しはきつい。

難解すぎて、
もちろん一般の方、メディアの方に伝えても、
理解してくれる人はまずいません。
自分の伝え方が悪いのはもちろんですが、
10年以上選手として代表選考の当落上にいた自分にとって、
ここ最近のわかりにくさは尋常ではありません。
(自分はもう引退していますので応援したい側の単なるヤジかもしれません。)

まず何人代表に選ばれるのか、
どの種目の日本代表を選出するための選考なのか、
誰も知りません。

「世界で戦える選手のみ、代表とする」
という方針はありますが、
それが一体どれくらいの実力をもつ選手が戦えるという評価になるのか、
明確な基準はありません。
「世界で戦えた」というのは何位以上かという基準も、無しです。
そして、それをいつ測るのかも、無しです。

なので、選手は、いつベストパフォーマンスを発揮すればよいかわからない状態であり、本丸の世界選手権にベストを尽くすのが難しい状況になっています。

で,今回謎の世界選手権に軽量級ダブルスカルをそもそも派遣しない、出場見送り.

今年の日本代表選考は、
来年オリンピックなので、
少なくとも五輪出場枠を得るための選手を,
代表選考するものだと誰もが思っていましたが、

なぜか五輪種目にない種目の代表を決定しました。
(一人乗りの軽量級種目)

軽量級という体重制限のある種目は2人乗りしか五輪でやらないのですが、
2人乗りの種目は派遣せず、1人乗りだけ派遣します。

何か意図があるのでは?と思うのですが、
関係者で意図を感じ取れる人は皆無でしょう。

そもそも、派遣されるのが1人乗りの選考で勝った選手でなく3位だった選手だからです。

1位2位だった選手をアジア大会に派遣し,3位の選手を世界選手権に.ということなんでしょうが,オリンピックのかかった世界選手権より,アジア大会に注力していたことを私は知りませんでした.(私だけ?)

協会側の考えなので、どの大会にメインを置くかは協会の自由だと思いますが、
どういう場合に、どの大会をメインに、こういう場合はこの大会と、
予め選考前に言っておくのが選考される側に対する礼儀なんじゃないかと思います。(選手には元々言ってあったらすみません)

ちなみに、ボート競技にはお金がありません。
世界選手権という基本ヨーロッパの大会に選手を派遣するお金がないので、
五輪種目しか基本狙いません。

五輪種目であっても、到底、実力が足りないと判断した選手は派遣しない、というのは金銭的によくわかります。

でも,軽量級一人乗りを世界選手権にお金を出して派遣する理由,大義はなんなのでしょうか.
選ばれた選手個人はめちゃくちゃ知り合いなのでものすごく応援しているのですが、

なぜ軽量級1人乗りを?
日本で3位でも世界で戦えるのを証明するなら、
1位2位も出場させてあげなよって思ってしまいます。

この選考プロセスが謎すぎて、驚いてるのは自分だけ?というブログでした.


追記

世界選手権で五輪の枠が取れたとして、
その後、どうするのか早く決めた方が良いと思います。
荒川先生、米川選手という最強選手が五輪枠を日本に持って帰る可能性が非常に高いです。

彼・彼女のためにも、獲った後、そのままパリ五輪に出場できるのか、
もう一回、日本で代表選考をパリ前にやるのか、
おそらく、「結果が出てから判断」という、いつもの後出しになるのでしょうが、
他の狙ってる選手のためにも、早く発表した方が良いと思います。
「獲った選手=出る選手」じゃない競技の方が多い気がしますが、ボートはどうするのか。

そこらへんも4年前に決めておいてほしいぐらいの勢いなのですが、早めに決めてくれると選手は喜ぶだろうなあと思っています。

選考をスポーツに。以上中野でした。

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