道ばたのカメラ
このカメラはいつ設置されたんだったか、よく憶えてないんだけど、かれこれ二十数年はここにあるでしょう。もっと前かもしれない。
いろんなオブジェやディスプレイを作ってますよ、というお店の看板みたいなものだったんだろう。大阪の道頓堀の派手な立体看板みたいなものだったんだろう。田舎だから、建物に取り付けるのではなく、その辺りに置いておくと、みんな、何だこれとビックリしてくれたんだろうな。
でも、みんなは飽きてしまうから、何十年も置いておかれたら、ただの邪魔なものにしか見えない。それが残念です。せっかく設置したのに、みんなスルーしていくなんて、オブジェそのものもくたびれていくなんて!
いろんなものは、すぐに飽きられて、ありふれたものになってしまうね。どんなに新しかろうが、どんなにすごいものであろうとも、いつかは飽きられて、そこに沈着してしまう。
だから、せいぜいみんなに利用されるものを作りたいし、みんなに話題にされ、折に触れて見直されるもの、それが理想だ。
わらで作られたぴょん吉くんというのも、近所にありますけど、これはわらだから、もうすぐに解体されてしまいます。そんな短い展示期間なら、人々はもてはやしたりしますね。短さがいいのか、なじまれるのがいいのか、私たちに提示されるオブジェは、長短や親疎いろいろですけど、心に残るものであってくれればいいなあ。
自然のお山なんて、それはもう人間のサイクルよりもはるかに遠いところからみんなに親しまれたりするのにね。