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電車箸置き、三通り

三重県の松阪から名張という町まで鉄道を通そうというアイデアがあったそうです。だから、路線名も二つの町の文字をとって「名松線」というローカル鉄道があります。JR東海の管轄の路線です。

何十年も前に、少しずつ鉄道は山奥へと敷かれていき、現在は津市美杉町ということになっていますが、かつては美杉村と呼ばれた山奥の伊勢奥津というところまで達しました。そこからあとも建設は進められたのかもしれませんが、作った形跡はないから、計画だけがあって、そこからの延伸工事はしなかったのかもしれないです。

かくして、伊勢奥津駅は、いつの間にか終着駅になってしまいました。

とはいうものの、かつては大坂・上方と伊勢神宮を結ぶ伊勢本街道という道がこの伊勢奥津あたりにはあって、道をたどれば、関西につながるし、伊勢にも峠を越せば通じています。

けれども、都会の発展を優先している現代では、地方の山奥の土地なんて、何も生み出さない、近代化からは遠い土地になり、忘れ去られてしまいます。特別な地下資源でもあれば、別の開発があっただろうけれど、地下から何も出てこないのであれば、山を利用した林業くらいしか産業が見つけられませんでした。

そうこうするうちに、台風で線路は土砂に埋まり、橋は流されなかったけれど、もう路線復活は無理ではないのか、という声があったり、JRさんも、そういう扱いであったけれども、地域の厚い期待とバックアップにより名松線は2016年の3月、再び全線復活となり、今も2時間に1本というまばらな運転を続けています。

そして、この伊勢奥津あたりには、移住者や、この地で新しく起業していこうという方たちも来られて、少しだけ明るくはなっています。

冒頭の箸置きは、九州で陶芸を学んでこられた関東の方が、わざわざこちらに移住して、今も活動しておられるようで、その作品の一つでした。

私も、こうした新しい活動に参加したいと思いつつ、けど、でも、何によって参加できるのか、まるで展望がなくて、ただ羨ましいなと思っているだけになっています。

こんな風に思ってるだけで、人生は終わってしまうかもしれないけれど、そうじゃない生き方を模索したい、ずっと思うばかりです。

どうしたら、踏み出せるんだろう。