見出し画像

泥の河 1981.6.3 新宿東映 

300円のパンフだったらしい。映画は、衝撃的だった。大阪が舞台というけれど、大阪ではないような気がした。というか、うちの近所で撮影したのではない、と思った。大阪が見たくてこの映画を見に行ったのか? いや、そうではなかったと思う。小栗康平さんの第1回監督作品である、というのもあったか。話題作ではあった。

宮本輝さんが原作ということもあったか。いや、宮本輝さんって、どんな人かも知らなかった。あわてて文庫本を買ったけれど、イマイチよくわからなかった気もする。

お昼くらいの部を見たのだと思う。それから彼女と別れ、彼女は上野駅から特急で北へ向かって行った。自分は新幹線で大阪へ帰った。

それからしばらくして、彼女のお父さんが亡くなられたというのを人づてに聞いて、あわてて電話をしたけれど、まともに話せる様子ではなかった。というか、電話で話しても、ちっとも彼女の役に立てていない自分がいるだけだった。

彼女は、哀しみを抱いて教育実習をしたはずだった。自分は、ただそういう世界が甘くないのだというのを恩師の先生にみっちり叩き込まれて、ぺしゃんこになっていただけだった。

よくそそこから再び彼女とつながり、今に至ることができたものだ。こんなチャランポランで無責任な私だったのに、どういうわけか、私たちはずっと一緒に過ごして来れたものだ。

今朝も一緒に散歩した。明日はしないと思うけれど、またいつか散歩はするだろう。散歩する二人なんだな。まあいいか、続けて行こう。ちゃんといろいろ思い出しながら、いろんな人の思いを受け止めながら生きていけたらいいんだけどなあ。