進歩

世界の秩序は変わらなくても、明日は今日よりもよいということが確証されるなら、人間は平和に楽しむことができる。逆説的な言い方だが、進歩は保守主義を正当化するに役立ちうるのだ。未来宛に振りだされた約束手形は、このように主人の良心を休ませる口実をつくる。現在がみじめであり、天上に少しも慰めを見いださない奴隷に、少なくとも未来は、彼らのものであると保証されるのだ。未来は、主人の たちがよろこんで奴隷どもに譲り渡す、唯一の財産のようなものである。

カミュ「反抗的人間・ブルジョア的予言」

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