村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 モンシロチョウ

そこで動くものといえば、ふらふらと草の上を彷徨っている季節遅れのモンシロチョウだけだった。モンシロチョウは、探し物をしているうちに、何を探しているのかわからなくなってしまった人のようにも見えた。五分ばかりみつかるあてもない探し物をしてから、蝶はどこかに行ってしまった。


村上春樹 「ねじまき鳥クロニクル」

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