【第4回】島根県信用保証協会 小野 氏の「改革」視座(前編) ~呼ばれたら飛んで行く「地方創生」屋さん〜

地方創生DXコンサルタントとして活動していく中でご縁があり株式会社猿人様主催の「自治体DX 友だちの輪」にてコラムを掲載させていただいておりました。

こちらのコミュニティが昨年度で終了したとのことで今回、猿人様よりこれまで投稿していた記事を私のNoteで掲載する許可を頂きましたので投稿していきます。


==========================


こんにちは、地方創生DXコンサルタントの廣瀬です。

前回第三回の記事では初のインタビュー形式で株式会社出雲たかはしの高橋社長との対談をご紹介いたしました。

▼出雲たかはしのHP

また、第二回の記事では、地方創生の活動は組織と連携することよりも人をターゲットにネットワークを作っていくことが肝要であることをご紹介いたしました。この考えは実はそれぞれの地域内にとどまるものではなく、地域や県境まで超えてご縁を繋いでくれるものでした。

考えてみれば当然なのですが、価値観や思想、理念に共感いただける方はやはりご自身のリレーションに同じ価値観に共感・共鳴される方をお持ちでいらっしゃいます。

そのため私とも共感頂いて一定の協働を経た上で「こいつは自分たちの目指したいものに向けて一緒に貢献してくれる」と感じていただければ、どんどんその方のご縁もご紹介いただけるのです。至極当たり前のことのようにこうして文字にすると思えますが、実はこれが本当に現在の地方創生の仕事が大きく展開し始める重要な転換点でした。

今回はまさにその展開点を示してくれた何名かの中のキーパーソンをご紹介したいと思います。

第四回の今回ご紹介するのは島根県信用保証協会の営業部部長、小野 拳さんです。

小野さんは中小企業診断士の資格もお持ちで、常に経営的目線・現場の肌感覚を持った立ち位置で地域の企業支援・事業支援に奔走されていらっしゃる闘士です。

初めてお会いしたときの印象は、金融人にあるまじき情熱と迫力を人生で初めて感じたことを今でも忘れられません。(今後、小野さんを私にご紹介頂いた行政マンもご紹介予定です)

筆者:小野さん、本日はよろしくお願いいたします。

小野部長:よろしくお願いします。しかし私からなんか何も面白いこと出て来ないですよ。

筆者:いえいえ、「私面白いですよ」って言う人が面白かった試し無いので安心しております。

小野部長:確かに(笑)もう、怖いなぁ。

筆者:早速なんですが、小野さんのお仕事に対する考え方をお聞きしてもいいですか?

小野部長:私ごときでよろしければ、はい、もちろん。

筆者:私ごときって・・・小野さんって保証協会はもちろん金融業界でも知られた有名人ですよね。金融庁関係者のセミナーにも呼ばれていらっしゃったり、書籍にも実名で登場されたり。

小野部長:いやいや

筆者:ご謙遜はさておき(笑)

小野さんのお仕事の仕方って私から拝見していると本当に視野が広くていらっしゃって、しかもご自分の領分であるかどうかはさておき、まずは「動く」のが本当に早い。これって著しく金融業界っぽくないと思うんです。そんな仕事における価値観やポリシーみたいなものをお聞きしたいんです。

小野部長:そうですね。まず仕事については皆さん何らかのお仕事をされていらっしゃって、必ずなにかの担当を持っていらっしゃるもしくは上から役割を与えられているところで、自分が依頼されている仕事のアウトプットまでは「ちゃんとしている人」というのは具体的にイメージができている。「ここまでできたらこの依頼された仕事は終わり」というものが。まぁ、ちょっと忙しめの人だと2個から~4・5個くらいまでは現在抱えている仕事をイメージできているかなと思うんです。もちろんそれでOKなのですが、どうせ仕事をするなら楽しくしたい。じゃあ楽しくするためにはどうしたらいいかというと、もらえる「ありがとう」の数を増やしたらいいと思うんです。

筆者:「もらえるありがとう」の数を増やす、なるほど。

小野部長:そう。だから「ありがとう」を増やしたかったら、相手の期待を超えて仕事をするのが効果的なんです。先方も思っていた期待値より増えた仕事の結果を見せられたら普段よりもっと「ありがとう!」って言ってしまうじゃないですか。

筆者:絶対に言いますね。

小野部長:ですよね。その感覚が無いと仕事面ではやはりルーティンに陥る危険があるし、そもそも成長しない。当然、仕事の時間が惰性に寄ってしまえば自分も楽しくない。

仕事相手の「ありがとう」が自分の仕事が楽しいことの源泉、これを目指して仕事をすべき。実は民間ではこれがあたりまえですよね。

なのに、地方自治という目線で見ていると公共的なお仕事に就いている立場なら市況にも関わらず収入も安定していて、その気になればもらえる「ありがとう」もたくさん積み重ねられるのに、人間って楽な方楽な方に流れていってしまうもので、「ありがとう」を増やすことよりも定型的な仕事を粛々とこなすことに終始してしまう罠に陥ってしまうことが少なからずあります。これはお役所に限らず私達も非常に近い環境にいると思います。せっかくたくさんの「ありがとう」をもらえる現場にいるのに、それを狙わないのは本当にもったいないことです。

筆者:ううむ。いろんなかっこいい言葉や概念論で仕事を語るよりも、もっとたくさんの「ありがとう」を集めようってメッセージはまさに人としての生き様というか、もう日々の暮らしの営みとして、挨拶をちゃんとするとかお年寄りに席を譲るとかと同じ感覚ですね。

小野部長:そうそう。そうなんですよ。大げさなことじゃないんです。

筆者:大変深く染み入ります。

小野部長:そう考えると私も自らを振り返りますが、上司の役割は重要です。本当に嬉しい「ありがとう」をもらえた人はきっとワークライフバランスとか関係なく隠れてでも楽しいことをするように仕事をしてしまうでしょうし、「ありがとう」をもらえない上司のもとで仕事をしていたらどんどん心が病んでいってしまいます。

筆者:でも、実際は常に「ありがとう」をくれる上司がいてくれるとは限りないですよね。

小野部長:その通り。だからこそ、ルーティンであったり嫌な上司から言われた仕事は一生懸命知恵をつかって、楽ちんに済ませてしまうんですよ。頑張る必要なんて無い。

筆者:なるほど!達観ですね。

小野部長:そうですよ。物理的にもそうですが、精神的に邪魔をしてくる人をいかに自分にとって障害・障壁にしないかという観点・工夫は仕事の現場では重要です。

筆者:そういったリアルなマイナス要素をうまく極小化するノウハウってなかなか表では語られないんですよね。特に日本では。ありがたく記事にします。

そこで、そんな現場での効果を非常に重要視されている小野さんにとって、そもそも全く関わる必要のない私といろいろお仕事をご一緒頂いていますが、私は大丈夫ですか?小野さんとお仕事をご一緒したい方は多くいらっしゃると思うのですが、そういった皆さんにとって、どうすれば小野さんとお仕事をご一緒できるかの参考にもなればと思ってお聞きしたいのですが。

小野さん:はい。先程も仕事の完了イメージを持ってみんな仕事をしているという話をしたでしょう?例えばみんな10まで行けば仕事が完了だと思っている。なのに、廣瀬さんはいきなり100とか200の先のイメージの話をするから、みんな話を聞いてもちんぷんかんぷんだし、この人は何をトンチンカンなことを言っているんだ?って思われちゃうんですよ。

筆者:ああ、耳が痛いです。

小野部長:いえいえ、それでいいんです。だってみんなと同じゴールや仕事の到達点しか見えてないんだったら、今いる人達で仕事したらいいじゃないですか。私もできるだけ今の立場からもっと良い結果を出そう、もっと良い答えを出そう、と思って仕事しています。でもそういう思いで話を聞いていると、そこまで先のことを言われた時はまるで周回遅れにされている気持ちにさせられますよ。でもだったらこの人を巻き込んでしまってこっち側に組み込んでしまえばいいですよね。そういうことでご一緒しています。

私自身が一つでもいい仕事にすれば相手はよろこんでくれるか、場合によっては驚いてくれる。それを目標にしているので自分が考えていることを超えてくれることを言ってくれる。それを当てにしていろんな人たちと仕事をしています。

筆者:ありがとうございます。

小野部長:でもね、厳しい言い方かも知れませんが、相手にとって逆に周回遅れの気持ちにさせられないような30代後半40代は責任ある立場につくべきではないとも思いますよ。見据える先のイメージが人よりもっと先を見てない人がリーダーになったって進むべき方向が行き当たりばったりになってしまう。更にもっと大切なことは、与えられた仕事について、新しいもの楽しいものを作ろうとした場合、自分自身が常に期待値よりも更に向こう側に到達しようとしていないと、そもそも自分が現在イメージしていることの先の話をしてもらったとしても認知できないと言うことになってしまう。そうなったらその上司やリーダーは自分が認知できないことを理由に貴重な将来計画の種を自ら潰してしまうことになります。これは危険ですよ。

筆者:それは今自分が適切なリーダーと一緒にいるかどうかの判断にも役立ちますね。

小野部長:そう思います。

筆者:私も身の引き締まる思いです。今後も頑張って小野さんの期待を超え続けねば、と思いを新たにしましたが、小野さんの期待値はかなり高レベルなので戦々恐々です。

小野部長:(笑)いやいや、まだまだこれからもお願いしますよ。

筆者:はい。頑張ります。

▶後編へつづく

©2023年 株式会社猿人ならびに「自治体DX 友だちの輪」コミュニティ

本資料は株式会社猿人主催「自治体DX 友だちの輪」コミュニティにてコラム掲載。引用、転載などにつきましてもこちらへご連絡ください。
info@ape-man.jp


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?