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約20年前に成人おめでとう!


自分が成人したのは約20年も前になります。遅れてきた反抗期まっただなかだったので、成人式には参加しませんでした。「式に参加したからって、大人になれるわけじゃないし」とか思ってた気がします。頭を金髪にして。恥ずかしい、とは思いません。当時の自分は自分なりに真剣でした。地元になんでも話せる友達がいなかった、というのも不参加の理由かもしれません。

成人式に参加したことはないので、えらい人がなんて言うのかは聞いたことがないです。でも、もし、20年前に自分が参加していたとしたら、いまのわたしはこう言いたい。

というわけで、20年前の自分に向けて、20年後のわたしから。



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約20年前に成人おめでとう!

これから皆さんが生きていくうえで、人生で大切な108つのことを、煩悩の数だけお伝えしようと思いましたが、ここに立ったら緊張のあまり全部忘れてしまいました。

だから、これだけ、たったひとつだけ、今日は覚えて帰ってください。人生で一番大切なこと、それは、

絶対に正しいことなんてない


ということです。
わたし以外のえらいひとが、親や、先生や、市長や、大臣が、きっといろいろと言うでしょう。

「親をうやまえ」「友を大切にしろ」「人に迷惑をかけるな」「夢をもて」「早起きしろ」「大企業に入れ」「結婚しろ」「老後までに2000万円貯蓄しろ」「法律を守れ」「人に優しくしろ」「人を裏切るな」いろいろ言うと思います。

きっと真面目なみなさんは、それらの言葉を、ノートにていねいに書いて、しっかり守ろうとするでしょう。守れない自分を責めたり、悩んだり、絶望したりするでしょう。

でも、残念ながら、守れません。そういった正しいとされることは、守れません。むしろ、守らなくていいんです。だって、絶対的に正しいことなんてものはないんですから。

そういった正しいとされるルールに縛られて、苦しくなって、身動きが取れなくなるのは、もう目に見えています。だってみなさん真面目だから。

なかには真面目すぎて、「では人を殺してもいいんですか?」と聞いてくる人もいるかもしれません。

いい質問です。答えましょう。時と場合によっては、いたしかたないんです。あなたの大切な人が、わけのわからない変質者に襲われる。あなたが闘わないと、大切な人が死んでしまう。闘ってください。やれ刑法がどうしただの、やれ道徳だのといったルールなんか、ク○喰らえだ!  失礼。つまり、絶対に正しいことなんて、ないんです。闘うときだと思ったら、闘ってください。闘いたくなかったら、逃げてください。こんなことを言うと、右だの、上だのいう人がいますが、そんな狭い枠のなかでわたしはものをしゃべっちゃおらんのです。

大切なことなので、もう一回言います。この世に絶対的に正しいことなんて、ない。だから、学校を辞めたかったら、辞めていいんです。会社を辞めたかったら、辞めていいんです。別れたかったら、別れていいんです。宇宙に行きたかったら、行ったらいいんです。いろんな人がいろんなことを言う。でも、全部、聞かなくていいです。右から左に流してください。

じゃあ、聞き流してどうするか?  なにを守ればいいのか? なにを規範に生きればいいのか?  

それは、知りません。自分で考えてください。突き放してるわけじゃないです。かっこよくいえば、それを探すのが人生です。絶対的に正しいことなんてない。けれど、あなたにとって正しいことは、あるかもしれません。

自分にとって正しいと思うことが、もし見つかったら、それを胸に刻んで生きてください。刻んでも、何年かして、やっぱり違うな、と思ったら、そしたらまた違う文字を刻めばいい。あ、これもべつにルールじゃないです。

手っ取り早く、他人がいう「絶対的に正しいこと」に従うのは楽かもしれません。でも、たいてい、そういうのは正しくない。時代や、場所や、文化が異なれば、いくらでも正しいことは変わります。絶対に正しいことなんてない。それを頭の片隅においていただけたら、わたしは嬉しいです。みなさまの20年後が楽しみです。ご清聴ありがとうございました。


2020年1月14日 広瀬ケン 約20年遅れの成人にむけて。

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