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きみがいなくても大丈夫。また新しい誰かが叫ぶから。 #呑みながら書きました



もう金輪際、女とはレンアイをしないと誓っても、寂しくなればこうやって手を出す。

酒のせいにします。女を愛する、ということがよくわからないのです。そもそも、人を愛する、というのはどういうことなのでしょうか。

僕よりも相手を大切に想う気持ち? 偽善はよそう。誰もが、自分の命がいちばんなはずだ。

僕はたくさんの命を見殺しにしてきた。ここで告白もしないし、懺悔もしない。見ず知らずの人に対して罪を打ち明けることは、ただのナルシストな行為だからだ。浅ましい。墓場まで持って帰れ。涙をながして文章を書いたところで、他人の暇つぶしにされるだけだ。じゃあ、なぜお前はここで書いているのかって? 僕は浅ましい人間だからです。

ショウセツやブンガクなんてほんとうはどうでもよくて、僕はただ、この嫌な気持ちから救われたいだけなのです。明日を夢みて、気持ちよく目覚められるのなら、すべてを削除しても構わない。

正直に言おう。人を愛してはいない。いま仲良くしていたって、明日敵にまわれば、容赦なく斬り殺そう。

みんなと仲良く、を先生が必死になって周知したって、どだい無理な話だ。そもそも最初から理想の桃源郷に過ぎないんです。夢の世界。架空のおとぎ話。

世が世なら、僕は剣を携えて、片っ端から刺して歩こう。もちろん、最後には自分を刺しますよ。であれば、最初から、己を刺せばイイって? 面白い。一杯呑んでくれ。

夜を共にして、でも僕は知らない人のとなりでは眠れないので、明け方まで起きている。

痛い頭で、なにかを考えられるわけでもない。暗闇でひとりでいることは慣れているし、カーテンの隙間が明るくなってから、さらに完全に朝が来るまでには長い時間がかかることも知っている。

ため息か深呼吸かわからない。女はきっと眠っている。でもどちらでもいい。二人とも起きていたって、結局のところ、二人を結びつける言葉はないんだ。

僕は、きっと笑われるだろうけれど、セックスがしたいわけではないんです。もう、行為自体に、思春期のような興味はないんです。きみの下着姿を見たって、隠してる部分を見たって、声を聴いたって、結局のところ、裸で入れてしまえばいっしょなんです。

休日の遅い時間に支度をして、外に出て、女が好きだとかいうカフェでランチを食べても、なにも話すことがないんです。セックスした翌日になにを語れと言うんでしょうか。将来のこと? 最初からそんなものはない。なぜなら、彼女たちには、彼氏も、婚約者も、旦那もいるからです。

お互いに、利用して、利用されて、生きるんです。ウソを重ねられる強さがないといけません。気弱な精神でいると、まっ先にやられます。厚顔無恥、を座右の銘にするんです。

アイシテル、って平気な顔で言うんです。表現するんです。ヒトがスキ、って大声で言うんです。ミンナナカヨク、って明言するんです。

そもそも厚かましくないと文章なんて書けません。声の小さなものは退場して、大声を出せるものだけが残るんです。

自分の流す血で、文字を描くんです。指先ですくって、ノートに流れるように描いて、みんなに見せびらかしてお金をもらうんです。

声が枯れるまで叫ぶんです。きみがいなくなっても大丈夫。また新しい誰かが叫ぶから。そのときは悲しくても、また違う誰かがやってくるから。

もう金輪際、女とは酒を呑みません。ウソをつけって? なあに、きみだって。死ぬまでの日数を指折り数えるんでしょう。



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