【小説】「ブッシュドノエルには早すぎる」
非通知で携帯が鳴った。すぐに出た。昨夜のチャット相手のユミさんだと思った。
26歳の元モデルで、ガールズバーで働いている。掲示板でやりとりしてから、鍵のかかったチャットルームに案内して、2人でエッチな会話をするようになった。
ユミさんは言葉を打ちながら自分で触り、感極まると非通知で電話をかけてきた。いってもいい? と聞いてくるので、さんざん焦らしたあとで許可を与えるのが僕の役割だった。
通話ボタンを押して「はい、キクチです」と寝起きの低音でこたえる。カーテンの外が薄暗い