ミニマリズム映画2本勝負

えーお久しぶりです。前回の投稿は「みぽりん the game」でしたね。
本日は歯医者さんの日だということで、診察後にお買物&映画館へと しゃれこんだのですが、パルシネマさんにて頂いた「朝イチバンのお話し会」のチラシに、2021年6月13日(日)の8:50から、みぽ松監督のトークショーがあると書かれているではないですか! 元町映画館上映→ハーバーランド上映(2回)→シネマ神戸上映ときたので、次はパルさんだといいなあと思っていたのですが、映画よりも先に松本大樹監督が来られるとは! なおトークだけなら入場無料です。

さて、シネマ神戸さんのスカイライン奪還&逆襲とどっちを見ようか迷った挙句、やっぱり一作目も見ずに完結編から観るのも問題あるよなあ、と、
パルさんの「100日間のシンプルライフ」「ハッピー・オールド・イヤー」を観ることにしたのですが、
モノの片づけの参考になるといいなあ、ぐらいの気持ちで観に行ったにもかかわらず、家族と恋愛模様のヘビー(個人的には)な物語で、
やはり映画は、ハウツー本のようには楽にいかないなあ、と思ったのでした。以下、作品の内容に触れます。


100日間のシンプルライフ

この映画を見るちょっと前、友人との間で『資本主義後の世界のために』と『人新世の資本論』が話題になっていたので(双方未読)、そういう意味でタイムリーでした。(「地球が もたん時が来ているのだ!!」)
自分で選んで買ったつもりのモノが、スマホの人工知能に買わされていて、しかもその動向は逐一報告されビッグデータになっている。
そのビッグデータが、さらに効率的に、次の消費を欲動させる。
そんなこと続けてたら、いずれ地球を食いつぶしてしまいませんかね?

あまり目立つシーンでもないのですが、信号待ちのみんながスマホを眺めて鈍くなっている中、青信号を颯爽と一人で歩く人が印象的でした。

この映画でミニマリズム勝負をする二人(ITベンチャーの共同技術経営者です)、どうも入り組んだ感情があるようで、普段は親友なのですが、ストレスがかかった時に、歪んだマグマが吹き出してしまう。
明確な回想映像としては描かれませんが、事情はセリフの端々からうかがえます。

そんな二人が、酔った勢いで始めたこの勝負、まずは裸一貫の状態からスタートし、所有していたモノを集めた倉庫から、一日ひとつづつモノを持ってくるというもので、ギブアップしたほうが負けになります。
(ドイツは裸で外を歩いても逮捕・保護されないのだろうか、と思いましたが、ストリーキングと思われているのかもしれない・・・まあそこはフィクションですな)
まあ、とにかく男の(ギャグっぽい)裸体シーンが多いので、アキラ100%(よくしらんけど)とか おそ松さんとか思い起こしましたね。

残念ながら、勝負のルールが今一つあいまいで、何日に何を持って行ったかというディテールを知りたいのに、分かりにくかったです。まあ着るものが最初、というのはわかったのですが・・・食い物はどういうルールで運用されてたんだろう? 普通に仕事場にも出てましたし。

ラストの「5つのもの」、クイズっぽくて分かりにくかったですが、ドイツ語のdingeは英語のthingであり、「物体X=the thing」が命のない「物体」では無かったように(なんだこのたとえ)、かならずしも無生物のみに当てはまる語ではない、と分かると、ああ、そういうことなのね、と分かります。
日本語にしても、「もの」は「物」と「者」、二つの意味がありますよね・・・

ちょっと出来すぎたSFっぽい結末を迎えますが(「トランセンデンス」というか「ルーシー」というか「her」というか・・・ああこの3つ ごっちゃになってよくわからんっ!)、ひょっとしたら現実も、そういう飛躍が必要な時期に来てしまったのかもしれない。

共産主義は、全員が善人の世界でなければ成り立たないという。かといって全員を善人にしようと思えば、そこには地獄の社会主義が現前する。
そしてソ連は崩壊し、自由の名のもとに資本主義が残った・・・はずなのだけど、
(これは私見ですが)資本主義は、無限の資源が無ければ続かせようがない。そして資源は尽きようとしている。


ハッピー・オールド・イヤー

こちらは、特に環境がどう、というわけではないです。最初のうちは無邪気に黒のポリ袋に入れて処分していきます。(いちおう環境についての言及も無くはないですが)

処分しようとしたものの中に、友人から贈られたCDがあり、それをその友人に見られてしまったことをきっかけとして、
要らないものをただ捨てるのではなく、元の持ち主に返そうとするのですが、そのことが、あいまいに「終わって」いたはずのこじれた人間関係をほじくり返し、過去と現在の愛情の三角関係が現出、親子関係は(おそらく)崩壊、
混雑を極めた実家は、雑誌のインタビューを受けるほど素晴らしい(そしてシンプルな)デザイン事務所として生まれ変わるのですが、

その代償として、ハッピーなオールド・イヤーは死ななければならなかった。それは死んだからこそハッピーに見える幻想かもしれないですが、その幻想にしがみついて生きている人が居て、主人公はそれを切り捨てた。泣きながら。
これが真の「断捨離」なんですか?
通過儀礼と言うには、あまりに厳しすぎる・・・・


与太話

てなわけで、予想とポスターイメージに反して、結構重い二本立てだったんですが、「断捨離 the Movie」とか「こんまりっ!」とか、そういう軽い邦画があってもいいな、と思ったんですよ。観には行かないでしょうけど。

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