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切り絵アニメを作るのだ

Animation Runs! 2024立春に行ってまいりました。
そこで、拙作「山月抄(サンゲツショウ)」を上映していただいたわけですが、技法についてご質問を受けました、
ええ、切り絵に見える映像は、実際に切り絵をアナログで切って使用しているわけですが、その工程を、覚書もかねて書き残しておこうと思います。

構想、絵コンテ、レイアウト

まー、構想練って、絵コンテを切って、ってところは、だいたい同じです。そしてレイアウトを作ります・・・
レイアウトのpsdファイルを置いておきますね。

「山月記」用のレイアウト用紙 200DPIで だいたいA4用紙サイズ。縦横を偶数ピクセルにしておく

線画ラフアニメ

で、ここでClipStudioPaint(通称:クリスタ)に移行し、レイアウト上でラフアニメを作っちゃいます。拡張子を.clipにして別名で保存することをお忘れなく。

前進する偉い人の線画アニメ
クリスタでGIFアニメにしたらこんなかんじ

ちょっとややこしいのですが、このGIFアニメであらわされている制作過程では、すでに出来上がってるアニメを土台にしてその上に線画アニメを書いています。AfterEffectsCS6(通称:AE)でAVIを出力し、それをPhotoShopcs5.1orCS6(通称:PS)で読み込んで、連続レイヤーにして、クリスタでアニメフォルダに突っ込み、タイムラインで動かす、と。
そのすでに出来上がってるアニメをどう作ったかは、今から説明されるわけで(汗)、こりゃあんまりいい素材ではなかったかも。

切るための下絵準備

…はい、説明に戻ります。で、線画アニメが出来上がったら、クリスタで「複製を保存」。.psdファイルとして保存します。これは、印刷用なので、for_printとでもファイル名に付け加えると良いでしょう。(面倒なので、自分は「FOPU」と付け加えているw 用が済んだら消すのでこれでいいのだ)

赤塚漫画か未来派か

クリスタのアニメーションフォルダーが、PSの通常フォルダーと化し、すべてのセルがレイヤーとしていっぺんに表示されます。
これらを適宜、より分けてプリントアウト(色は薄くしてね)します。あ、忘れず画像解像度を(リサイズせずに)200dpiにしてください!
はい、これが、切り絵のための下絵(場合によっては下絵の下絵)です。

まあ、こんぐらいで小分けして。灰色ベタ塗りレイヤーを重ねると色が薄くなります。

今回はA4サイズで11枚のプリントアウトが出来ました。

まだまだ荒いです

…これを下絵の下絵として、微調整を、主に細太&極細プロッキーで描き入れていきます。

アナログ漫画のペン入れ的な

切り絵キル(キルラキル的な)

下絵の裏に黒くて薄い紙を重ね、ホッチキスでとめて、デザインナイフで切っていきます。この辺の工程については、切り絵の本に詳しく載っています。まあ、このアナログ切り絵が楽しいときですね・・・筋肉痛になって、時間も食うけど。
出来上がったら裏返し、抜くべきところを、縁日の型抜き的に除いていって、↓こんな感じにします。外枠から完全には切り離さないのがミソですね。

切り絵補正で上手く見えますので!!! 下絵がイマイチでも安心してください!!

よく忘れることなのですが、黒い紙だけの四隅(耳)をハサミで切り落とします。そして、下にいらない紙を敷いて、キャラにペタペタのりを塗り、白いA4の紙の四隅に合わせるようにして、新しいA4のコピー用紙(台紙)を貼り付けます。

たいてい のりを塗ってから隅の切り落としを忘れたことに気づく

張り付けたまま3枚の紙を裏返し、ほろほろになった下絵をペリっとはがしていきます。ホッチキスのところは、やぶくような感じで。下絵は、切るまでは大事ですが、事ここに至っては、もう大事ではないので、容赦なく処分してください。切り絵や台紙を傷めないように。(作画は非情だ・・・)

右下が、切るための下絵の 成れの果てです・・・

で、枠組みからキャラを切り離します。プラモのランナーからパーツを切り出すような感じですね。ゲートの部分が、残念ながら ちょっと乱れるのもプラモ的です。
切り絵の糊付けの際、すき間を通って、下絵の一部が張り付いたりするんで、それは慎重に除去してください。まあ、たいていは、カッターの刃の先っぽで浮かせます(いろいろ便利なアートナイフ、プラモでも、ゲート処理からカンナ掛けまでやっちゃいますね・・・)
いらんところについたノリも、カッターの先で、こそげおとします。

処理を忘れると、不本意ながらデジタルで修正を入れることになりますが

逆に、切り絵にノリがついていない部分もあったりするんですが、そこにもまあノリを入れといたほうが安全でしょう(つまようじとかで)。スキャンの時、折れ曲がると痛恨ですし・・・

切り絵 糊付けあるある

スキャン、腑分け、再配置

で、このカットに必要な11枚の切り絵が全部、台紙への糊付けまで終わったら、PS経由でスキャナーを使ってスキャンします(解像度は倍の400dpiで)。

11枚にモノクロで描かれた切り絵を、一つのPSDファイルにまとめ、

  • 白ー黒を、透明ー黒に変化させ(=輝度を透明度に変換)、

  • セルごとにキャラを切り分け(レイヤー腑分け)、

  • 全レイヤーを中央にまとめ、場合によっては 空白部分のカンバスを切り落とし、

  • クリスタに持っていきます

箇条書きの部分の順序は、前後してもOKです。クリスタで全部やれるならやってしまってOK。なんなら、クリスタでスキャンしてもOKですな。

だいぶん整いました

クリスタのほうでは、レイアウト上に作っていた線画アニメのファイルを、別名で保存し、解像度を倍の400dpiにします。リサンプルは、します。つまりドット数が4倍のファイルをつくるわけです。

で、その線画アニメをガイドにして、切り絵レイヤーを、アニメのセルとして配置していく・・・と。
(最終的には200dpiにして線を引き締めるのですが、その工程についてはまたの機会に)
とりあえず、デジタルアニメ制作の一部分がアナログ制作になっている流れは、こんな感じです。
このあとは、デジタル制作なので、それについては、またの機会に。
ではでは~



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