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『ブルシット・ジョブ』は仕事がつまらないホワイトカラーの救済の書

佐藤大朗(ひろお)です。会社を休んで三国志の勉強をしています。
会社を休む要因は、いろいろ思うところがあったんですが、引き金になったのは、わざわざ自分がフルタイムの正社員をやり、安くない月給をもらっている仕事が、「クソどうでもいい」と思ったから…です。

関係者の迷惑にならないように、がらっと内容を変えて書くと、こんな感じになります。「あるある」と共感される方は、多いのでは。

コロナ対策をきちんとやっているという体裁を繕うための「戦略」会議に開催し、とくにアイディアが出なかったことを議事録につくり、
その議事録を全社に開示するため、3人の上司の承認を必要とし、うろうろと些細や文言の修正を繰り返すものの、上司のあいだで仲が悪いから、言い回しだけの変更命令に翻弄され、行きつ戻りつ完成させ、もちろん、見ても見なくても、どっちでもいい内容の議事録なんだけど、
その議事録を社内LANに掲載するための依頼書を書き、その依頼書の承認が早く進むように社内調整し、承認システムの使い方が分からないとゴネるおじさんに使い方を教え、そして…、「めっそうもない!!システムが悪いのであって、あなたは有能なひとです」とご機嫌をとり、
自分の席にもどってから、ふと、「おや?…でも、この承認システムの導入の旗をふり、業務を効率化したという名目で、社内表彰されていたのは、このおじさん当人ではなかったか?」と思い出し、システムの悪口はまずかったか…と反省し、
社内LANに掲載されたあとは、社内からのアクセスを部署ごとにデータをとり、自動的にグラフ化できるツールを他部署に発注し(そのための決裁書を大量に書き)、グラフで部署ごとの傾向を見せしめにし、
そのグラフをべつの全社会議で説明するため、部署ごとの傾向を語る指標を事後的に議論し(早さ、人数、人数比、時間…云々)、アクセスが少ない部署を、「意識が低い」とつるし上げ…るために、
事前に「お叱りを受ける」部署の責任者との打ち合わせを設定し、会議室を予約しようとしたら、ほかの部署とバッティングして、派遣社員の秘書さんに電話をかけてもらい
やっと設定した打ち合わせでは、「お叱りを受ける」ための段取りを練ると、「いやいや、その指標は不適切だ!!」と揉め、5パターンの指標で資料を作りなおし、そんなことをしているうちに、
くだんのコロナ対策「戦略」会議で、地位=年齢の高いひとが毎日1時間以上、密室でやっているものだから、感染者が出てしまったので、感染の報告書のフォーマット作成を、どこの部署がやるのか?を検討するための打ち合わせを設定し…(笑)

べつに、漫画っぽく極端にしているんじゃないです。マジ、こんな感じでした。さてさて、デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ/クソどうでもいい仕事の理論』という本があります。
その本は、クソどうでもいい仕事について、人類学者が、定義して分類し、ほんとうに有害だって言ってるんですけど、ぼくもまったく同じ。
本の17pに、典型的なブルシット・ジョブが紹介されていますが、「負けず劣らず、ぼくもブルシット・ジョブだった!」と思ったので、体験に基づいて、「架空」のエピソードを作ってみました。
もうその仕事は離れているので、グチではないです。ただ単に、ヤレヤレ、と思うだけです。

あの上司が愚かだから!この会社の風土が!これだから日本企業は!とか、いろんなレベルに不幸の原因が思い当たると思いますけど、
欧米圏でも同じであり、とくにホワイトカラーで、不満と不幸が蔓延しているんだそうです。ただし問題の性質上、「オレの仕事は、クソどうでもいい!」と、公然と声を揚げることができないから、見えにくい。

いちおうブルシット・ジョブの定義だけは書き写しますが、この定義にオリジナリティがあるわけじゃなく、議論の枠組みを定めるために、必要に迫られて検討したって感じでした。念のために補いつつ引いておきます。

ブルシット・ジョブ(くそどうでもいい仕事)とは、被雇用者本人(雇われて就業している当人)でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある(存在しないほうが社会全体が良くなる)有償の(給料が支払われる)雇用形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として(就業を続けるなかで)本人は、そうでない(さも意義がある)と取り繕わなければならないように感じている。p28

まだ読んでいる最中なので、どこまで解法が書いてあるか分かりませんし、著者がさいきん亡くなられてしまったのですが、皆さまもどうぞ!!
不幸なのは自分だけではない、と知るところから、救済は始まるというのは、宗教者たちの定石でしょう。きっと救いがあるはずです。

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