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政治家の答弁に学んだこと/人事評価の報告書

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

noteではあれこれ言ってきましたが、復職して1年が経とうとしており、「査定」「人事考課」の季節です。
すべての仕事に言えることですが、自分の役割や功績をポジティブに書こうと思えば、わりと「言葉を飾る」のは簡単ですが、やりすぎると反面調査に入られたときにボロが出ます。かといって、苛烈な自己批判をしたって給料が下がるだけで、何も嬉しくない。

どうするのか。

仕事と関係ないですけど、
「おにぎりを買って食べた」
というだけでも、業務報告するとき、

「小職の心身の継続的なパフォーマンスの発揮のため、必要不可欠な栄養摂取を企図し、厚生労働省の基準値の範囲内のカロリー及び塩分相当量にて摂食をおこなった。このことは日本文化の振興の一翼を担うとともに、地域経済の活性化、ひいては多国間のサプライチェーンに対し適正価格を支払って商品購入及びサービスを支えるといった側面もあり、さらに8%の消費税を納入して国家の財政健全化にも寄与した。店内で飲食することなく店外で食べたため、税制の遵守に取り組むことができた。レジ袋を自発的に辞退することでSDGs、環境問題と持続可能な発展についての意欲を高めた。同僚にも同様に行動を呼びかけ、情報共有することで地球市民としての責任を果たすことに繋がった。空腹感の解消のみならず、心理的幸福度が向上した」

みたいに書けるんです。
もう、何でもありですよ。自由自在。
※チャットGPTじゃなくて、ぼくが書いてます。

どうやって1年の業務報告をまとめようかな?
と思ったとき、当今の政治家の受け答えが、とても参考になる。

・現状をひたすら肯定する
・既存の尺度をひきあいに出す
・関係者すべてを褒める(敵を作らない)
・抽象的に謙遜する(失点にならない)
・期日や品質を定義しない(可否を判断不能)

現状に異を唱えたり、だれか(取引先、部署、特定の人)との争いやトラブルを言挙げしてはいけません。ひたすら既存のことを雄弁に&多面的に描写しまくって、基本的に褒めまくる。
そうしたら、だれにも異議申し立てをする必要はない。
付加価値のある仕事って、多少なりとも「現状を変える」力を持つものだと思いますけど、現状をつくりあげた人たちがいます。多くの場合、現状をつくりあげた人に、「かくあれ」という意思はなく、成り行きで現状が生まれていると思うんですけど、ともあれ、「矢が飛んできた気がする」と思われたらいけません。
すばらしい、すばらしい。今日の社会はかくも素晴らしい。生半可な理解で手を加えようとするなんて、あってはいけないことですよね。

ある実例では、「何もしないから、批判のしようがない」戦法は、2年ぐらい持ちましたよね。同一テーマで正反対のことを同時に言って、信頼できないと言われましたが、どちらも言うだけだった。関係者が言ったことを、理解できず(もしくは意図的に理解せず)右から左に流しているだけ。やがて、プラスではないが、マイナスではない、むしろ意図的な空位(トップの空白期間)を作り出しているように見える。
邪悪な個人がそう仕向けたというより、日本社会の雰囲気です。
実態がバレて支持率が下がっても、「代案がない」「交替する人がいない」「時期じゃない」「角を立てたくない」という感じで、当面はながらえる。これって、日本社会の到達点の一つだと思うんですよ。

今年の人事評価シートでは、ウソは1つも言ってない。
しかし……(これ以上は言うまい)
何をどうやって書こう?と悩んでいたとき、政治家の答弁をしばらく見て、傾向を分析して、「これでいこう!」と思いました。
せめてもの誠意として、自分の業績が「平均より上」「期待より上」なんて言いませんでした。そんなことは全然ないと思います。公私を含め、迷ってただけです。よくて平均です。「過不足なくあれ」と願いつつ、不足した部分も多かったのではないか。

のらりくらりと難しく、
現状を多弁的に言い換えながら肯定していく。
整合性は不問。具体性だけは持たないように。

使ってみてください。
※使わなくていい場所に身を置きたいですね

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