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「モチベーションを高めよ」と言われたら辞めてよい

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

会社員生活15年の終わりを意識しながら、自分の好きな研究に専念することをもくろんでいます。
あるビジネス書やyoutubeで言われ、そうだな!と思ったのは、「モチベーションが上がらない」と悩んだり、「モチベーション管理」が職場で問題になるならば、そんな仕事は辞めていいし、そんな職場を離れてよい。むしろ辞めなければいけない。これを心から思います。

思うに、モチベーションは内側から湧いてくるものです。事後的に、あるいは他人から「モチベーション高いね」と指摘される筋合いのものです。押しつけられたり、意識して高めるものではありません。
モチベーションを連呼するのは、下手くそで無為無策な管理者のしわざではないか。

何もおもしろくもないのに、小売店の店員さんが「笑顔で!」と強要されるのと同じ。ぼくは、たいして立派な(高額の)買い物をしていないのに輝いた笑顔を向けられると、申し訳なくなって足が遠のきます。

ダンスをやっている友人に質問したことがあります。「なんで踊っているひとは、みんな笑いながら踊っているの?薄気味が悪いのだが」と。ダンス中は笑うものというシツケがあるなら、恐怖政治です。
友人の回答は「みんなの前でダンスを披露できることが嬉しすぎて、おのずと笑顔になってしまう」のだそうだ。そりゃすげえや。
ダンサーにそんな質問をするぼくも大概ですけどね。

「モチベーション!モチベーション!うおお!」ってなってる時点で、仕事が合ってないです。題材が合ってないか、役割が合ってないか、方法が合ってないか、相性がわるい上司や同僚がいるのか、どこにミスマッチがあるかは場合によるでしょうが。

モチベーションの高低が指摘される時点で、
適性があるひとに比べて、労力が3倍かかるけど、成果は3分の1です。
掛け算により、9分の1のパフォーマンスしか出ません。重いタイヤを腰に縛り付けて、心臓破りの上り坂を駆け上がっているようなもの。適性があるひとは、手ぶらで平坦な道をさっさと歩き抜けていきますよ。

日本の職場で、盛んにモチベーション!モチベーション!って言われるようになったのは、いつからでしょうか。2006年に新卒だったぼくですら、就職1年目から「モチベーション!モチベーション!」と浴びせられたので、最低でも20年以上の歴史があるだろう。
「リンクアンドモチベーション」という会社があり、2006年当時、モチベーションに取り組んだ成功事例、すばらしい会社!みたいに言われていた。いま調べたら、まだウェブページがあったので存続しているのでしょう。ぼくの関心が逸れて無知でした。業績や事業内容はわかりません

最初に「モチベーション!」「モチベ!モチベ!」と言われたとき、ぼくが知っていたのは「二十歳やそこらじゃ人生のモチベーション」。1995年の歌です。音源、歌い方では「二十歳やそこらでは、人生のモチベーションに過ぎない」という意味に聞こえ、意味わからんなと。いま歌詞をテキストで読んだら、意味のきれめが違うんですね。人生全体の目標が二十歳前後で見つかるなんて早すぎる、という否定的なニュアンスでした。

新卒の職場では、「自社の商品に、関心を持ちなさい」「経済ニュースに、興味を持ちなさい」という説教もたくさん受けましたが、興味・関心とは内側から出てくるものであり、「うおおお!関心を持つぞ!興味を持つぞ!興味がある!興味がある!」と気合いを入れましたが、日々体力が減るばかりで苦しんでいました。
意味不明なビジネス精神論は、コロナ禍がくるまで日本社会に蔓延していたという印象。「それ、意味あります?」と言い出せない環境だった。

年齢が低い、貯蓄が少ない、住宅ローンが多いなどの理由によって、会社で立場が弱いひとは、2024年のいまでも、同じこと言われているのかな。

なぜいまさら、モチベーションを目の仇にするかと言えば、
自分で意味があると思っている研究をしていると、モチベーション!なんて少しも気にならないからです。
「それは趣味に走っているからで、他人が求めてないことをやっているからでしょ」というお叱りもありましょう。しかし、それは違います。研究に附随した作業は多く、「イヤだな」「逃走・回避したいな」「面倒くさいな」「早く終わらないかな」「疲れた」「だるい」「もうやりたくない」とネガティブに思うことは頻繁にあるのですが、「モチベーションが上がらない」という悩み方はしません。
※ネガティブな感情はあります。好きなことをしてても(笑)

宗教的な連呼からいったん距離を置いてみると、「あれだけモチベーションが叫ばれ、社内会議や目標管理でも、上司との面談でも話題に上がっていたのは、何だったんだ?」と思うので、記事にしてみました。
人事評価の項目で、「意欲を持って積極的に業務に取り組めているか?」を自己査定するとか、みんな変だと思わないのでしょうか。

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