『贈与論』を貸借対照表で理解する

佐藤ひろおです。会社を休んで早稲田の大学院生をしています。
三国志の研究を学んでいます。

ひとつ前に書いた記事の「数値化」篇です。
今回は、簿記3級の知識が前提で書いてます。すみません。

文化人類学の古典『贈与論』を味方につけ、人間としての器量を大きくし、より大きな成果を出すには、端的にいって、
個人の(人間関係の)貸借対照表のサイズを拡大させるべし。
これが結論です。

貸借対照表のサイズを拡大させるには、
①負債の部を大きくするのが有効。他人からお金を借り入れて、経営の資金にあてるのが一番早い。
また、
②取引先と現金決済するよりも、相手を信頼してお金を貸し借りすることに合意する(売掛金・買掛金を持つ)と、貸借対照表は大きくなる。
(買掛金は、短期の負債だから同じ原理ですね)。
月次の決済で差額を精算しますが、掛け売り・掛け買いが途切れることなく続けば、取引量の拡大に伴って貸借対照表は大きくなる。

①他人に「借り」を作って元手とする。②現金決済で取引のたびに切断するのではなく、恒常的に「貸し借りがある状態」にする。
これにより、貸借対照表は育つ。

連動して資産の部が大きくなるから、より大きなことに挑戦できる。大きなことに挑戦し、成果が出れば、大きめの当期純利益を得るだろ。これを純資産に組み込むことによって、純資産の部を底上げでき、貸借対照表を大きくすることができる。

借入金は利子が発生するので、感覚的に愉快ではない。「無借金経営」をもてはやす、というシーンもある。しかし、成長期には借入によってレバレッジをかけないと、いつまでたっても、やりたいことができない。

借入金を持つ=他人からの贈り物や手助けを受け入れる
掛け取引の相手数を増やす=信頼できるパートナーを開拓
掛け取引の金額が増える=パートナーと密接な関係を築く

貸し借りの精算には、タイムラグがあってもいい。「今日の恩を、来週返す」という忙しいサイクルではなく、数年後に、ドカンと大きなお返しをする……という中長期的な関係性があると、出せる成果が大きくなる。
固定負債・固定資産を持つことで貸借対照表を大きくできる。これが器量の大きなオトナのあり方だろう。

すでに成功したひと(会社で出世したひと、大学教授など)は、資産の部が大きくて財務体力が高いので、部下や学生に「贈与」をするときに、ふんだんに貸倒引当金を計上できる。
ぎゃくにいえば、大きな貸倒引当金を計上しても、貸借対照表のバランスが悪化しないひとが、成功者ということもできる。

受けた恩(贈与)に対し、然るべきお返しをしないのは、会社に置き換えると、借金の返済スケジュールに違反したことになる。その場合、事業を継続できなくなる。これも『贈与論』のアイディアをカバーしている。

銀行さんがムリな営業をして、お金を借りる必要がない会社に、お金を押し付けて、高い利子を取ろうとする。その利子のせいで会社の経営が傾くならば、それはポトラッチだ。※説明はぶく

ぜんぶをお金に換算できなくても、思考の補助線としての貸借対照表は、わりと使い道があると思っています。

これも同じような連想です。なにを数値化するかは違いますが。

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