スポーツ大会でSNSがつまらなくなったのは大歓迎

『ニュース・ダイエット』という本を先日読んだんですけど、

テレビやネットで不快に感じていたことをすべて言い尽くしてくれましたし、「ぼくだったらこう思う」ということを、さらに極端に(ニュースを愚劣なものとして)書いてくれちゃったので、付け加えることがないです。
ぼくは複数のSNSアカウントを持っているのですが、トレード用のアカウントを作って、株価とか為替の情報を得ています。日経新聞では遅すぎて、とても参考にならない。かといって証券会社は、ノイズでこちらの頭を混乱させて、ムダなトレードを繰り返させることが目的なので、やはり見てはいけない。というか、4年か5年前、楽天証券の楽天FXのニュースを小まめに見ながら、裁量トレード(ハンドによる売り買い)をしているときが、メンタルが最悪で、収支も最悪で、カフェインがたくさん入ったウーロン茶を徹夜で何リットルもがぶ飲みして、手が震えていたです。まじ恐い。

ツイフォン2020のスポーツイベントによって、トレード用に作っていたタイムライン(ぼくにとっておもしろく、有益と感じられることをつぶやいていたアカウントたち)が、スポーツイベントに関してつぶやくようになって、ノイズが多すぎます。つまらなくなりました。
べつにぼくは、スポーツ選手に怨みはないのですが、「興味がないことをたくさん見せられる」「要らない情報をスルー、スクロールしてさばく」というコストを負担したくないんです。一日の注意力は上限がありますからね。すると、トレード用のアカウントも見られなくなりました。表面的には、これは喪失なんですけど、見るべきものが減るということは、自分の人生を生きることの復権でありますから、ちょっと自分の頭で考えられる冷静さが残っていれば、喜ばしいことなんですね。ナイス、スポーツイベント。

ニュースを憎みすぎやろ、ってお思いの方も多いと思います。ぼくも会社員として日々勤務しているならば、こんなにニュースのことを毛嫌いしていませんでした。むしろ、「仕事に使う」と「暇を潰す」の境界線上にいるヤフーのトップ画面は救済でした。勤務時間中に、注意力を逸らしてくれる、気分が紛れる、しかし万が一上司に画面を覗きこまれても叱られない(叱られたことはないですが万が一のリスクヘッジ、危険予知というものにもっとも敏感なのがサラリーマンですからね、在宅勤務をすれば、このよく分からないバランス感覚を鍛える必要は後退するでしょうが)。
ていうか、『ブルシット・ジョブ』の本で言われていたとおり、平日の昼に、ネット・ニュースのコメント欄を荒らしているのは、平均以上の年収をもらっているホワイトカラーだと指摘されていました。日本だけの減少じゃなかったんですね。ならば(?)仕方ないですね。

というか、この記事も、そのまま書けばいいのに、遠回しに書いちゃいましたね。そんな気分だったんですよね。
隣の大陸国家に比べると言論の自由が確保されているのは間違いないにしろ、キテレツ大百科のロボットに仮託したり、カタカナの「ロ」を漢数字のゼロとか記号のマルにしたりとかして、言及を必死に避けているのって、窮屈ですね。そのまま書いちゃったら、この記事の上にも、厚生労働省の情報に従ってくださいとか出るんです。ぼくは感染症って読んでますけれど。ていうか、隣の大陸国家ってのも、忌避、避諱かよという。
このスポーツイベントも、ツイフォン2020とか、自分で書いてても何だそれって思いますけど、口に出すことが憚られる、「首ざぶとん」です(言った瞬間に呪われて狂い死ぬというホラー小説のキーワード)。

犯罪があったときも、首相が交代したときも、スポーツ大会で活躍した選手がいたときも、いつもニュースはその人物にスポットライトを当てて、生い立ちとか人となりを特集するじゃないですか。なんだあれ、意味ないし、知りたくないし、もっと分析の切り口はないのかな??って、子供のころから違和感がありましたが、『ニュース・ダイエット』でとっくに明らかにされていました。社会的に地位が低く、収入が保証されていないが、絶えざる締め切りの圧力、露出頻度を上げろという義務感に追われて、知性が停止しているのが、ニュースの発信者であり、その下請けのライターであると。
人物についての掘り下げなら、頭を使わずとも書けるし、独自の視点とか、中長期的に時間とお金を費やした調査がなくても、それっぽく仕上がる。だから、何が起きても人物報道に走るのだと。
もうそこまで先行する本で言われてしまったら、ぼくが付け加えることは何もありませんし、「ならば、見なくていいよね」と安心して無視できるんです。ぼくは、幸いにしてまだ1回も見ていませんが、今回の体育大会で活躍したひとの人物像の掘り下げが、どこかのニュースで行われているんじゃないですかね。見なくていいですよそんなの。ただ製造原価を下げたい、という一年の産物です。くれぐれも繰り返しますが、べつにスポーツ選手をヘイトしてるんじゃないです。

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