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SNSで目立つとつぶされる構造/SNS界の粘膜妖怪

佐藤ひろおです。今日は、SNSネイティブの若い世代(ぼくよりも20歳ぐらい若い)の意見を聞くことができて、まったくそのとおり、ぼくも同感だと思ったのでメモします。

村落共同体、学校のクラス(閉鎖空間)、ビジネスの起業家や投資家でも同じでしたし、私が経験してきたウェブページによる発信でも同じで、今ならばSNSでの存在感でしょうが……、目立つとつぶされます。
たとえるなら、「なにかを始めてみよう」というひとは、地上に設置されたロケットなんです。これから打ち上げて、より高みを目指します。地上から見上げているだけだと、空がどんなふうか気づきませんが、実際に飛び立ってみると、厚くて粘着質の雲、もしくは膜(まく)や網(あみ)のようなものが、何重にも張り巡らされており、引っ掛かります。
高度100メートルで、ねちゃーべちゃーっと搦め捕られて、推進力をそがれます。ふんばってロケットエンジンを噴射し、その粘着、しがらみを突破したと思ったら……、高度200メートルで、また、べつの雲、もしくは網みたいなものが、ねちゃーっと絡みついてきます。それを突破すると、高度300メートルで……以下くり返し。

くも、まく、あみ、として、階層をなして漂っており、新しいロケットをつかまえるのは、なにか。かつてロケットとして飛び上がり、その高さで搦め捕られた、夢やぶれた人たちなんです。
かつてのロケット、挑戦者は、高みを目指しましたが、粘液に搦め捕られて挑戦をあきらめました。どろどろに体が溶けて、かれら自身も、粘膜の材料になって、分厚い雲を形成しているんです。理論上、粘膜はぶあつく、より、ねばっこくなっていきますよ。妖怪みたいですね。
妖怪は、ロケットの推進力に負けると、そこに一時的に穴が空きます。ですから、「トップランナーは、敗れた全員のゆめを背負っている」ということにはなりません。トップランナーは、真空の宇宙を飛んでます。

新しいロケットに絡みつく、かつての挑戦者たちは、まさか自分が、新しいロケットをジャマしているとは思ってない。「あなた、嫉妬してますよね?みっともないから、やめてください」と言ったって、ぜったいに認めません。だって、当人たちは、自分が夢破れたことは認めていないし、新入りをジャマしているとは思っていないわけですから。こじれてくると、「○○業界を盛り上げたい」みたいな美辞麗句に紛れる場合も ※これを言っているひと全員が敗北者ではありません。擬態のひとつの形です。

粘着者たちの心を分析すれば、「本来であれば、オレはこんな粘膜の一員ではなく、より高い空を飛んでいたはずなんだ」と思っています。粘膜を突き破ろうとするロケットを見れば、「ひとつ違えば、この粘膜を突破するのは、オレこそが相応しいはずだ。あんな軽輩が突破するのは、不当である」と思っているんですよね。

粘膜さんは、何があっても、自分がやっていることを認めません。当人に、「あなた、粘膜として、絡みついていますよね」と聞いても、意味ないし、怒らせるだけっす。
第三者が、粘膜さんの心をきちんと分析すれば、「オレが過去に失敗し、いまでは体が溶けて粘膜の一部になった。にも拘わらず、後発のお前ごときに、上昇のエネルギーが残っているなんて、許せなあああい!!」と思っています。しかし、このまま言うわけにもいかないので、大義名分を振りかざすんです。
「そんなやり方は邪道だ。はしたない。私が正しい(けれど、時間のかかる)やり方を教えてあげよう」、「どうせ失敗するから、辞めたほうがいい。きみのためを思って言っているのだよ」、「私がこの高さにくるのに10年かかったのに、あなたは他人を丸め込んで、たった1年で超えてきた。そんなの公平ではない。ルール違反!!」てな感じで。
大義名分があるから、一見すると正しいし、先輩の意見だから、耳を傾ける必要があるのかな??と思わなくもない。正しいから、ロジカルに説き伏せようとしても、粘膜さんの勝利が確約されています。
粘膜さん自身は、挑戦をあきらめた自分を正当化するために、練りに練った、非の打ち所のない「やらない理由」を理論武装しています。かれら自身の自尊心をかけた、正し過ぎる理由づけなんですよ。そりゃあ、基本的にスキがないし、否定しようものならば、粘膜フレンズを召集して、より分厚く折り重なってきますよ。
彼らと接するときの正解は、「話し合う必要はない」なんですけど、これがまた、なかなか気づけないんですよ。呪われたムラの住人も、はじめは旅行者に対して妙にフレンドリーで、よくしてくれたりするじゃないですか。そんなムラ、行ったことないですけど(笑)

SNS疲れって、きっと、これが一因なんです。自分がおもしろいと思ったことを投稿し、それに対して、「いいね」「フォロワー」「視聴回数」が微増しているうちは、単純に楽しいんです。
やがて、ちょっと目立ってくると、同じ高さをただよっている人たちから、陰に陽に、顕在的にあるいは潜在的に、嫉妬・ヘイト・粘着が寄せられて、潰されそうになる。あなたごときが、そんなに存在感を発揮しているなんて、認められませんよね??出しゃばっているんじゃない??調子に乗ってますよね。きちんと、この帯域の古参みんなを説得して、了解を取って頂かないと、このムラには住まわせませんからね??このムラで信頼を勝ち取らない限り、より高みを目指すなんて、ムラのオキテで禁止されているんで、そこんとこ、わきまえてもらわないと。今夜、あなたの畑の作物が、ぜんぶ獣や鳥に食われていたとしても、知りませんからね、、てな感じ。

これが実態だと思います。この記事を読んで、ロケットを打ち上げるのを辞めておこう……って思うのも、不快な思いをしないための知恵のひとつではあるでしょう。また、中途半端にロケットをうちあげて、100メートルでは引っ掛からないにせよ、400メートルで引っ掛かって、粘膜の構成要素のひとつになるなら、それはそれで、既存の粘膜さんたちは、しめしめ、と思っているでしょうけど……、
これらの事情をあらかじめ頭に入れ、独立した一個の人格としてロケットを打ち上げ、追加の燃料や新しいエンジンなりを、どんどん空中でも補給するような工夫をして、それでも高みを目指すのが、おもろいんじゃないかなと思ってます、ぼくは。
外野からの無責任で、訳知り顔の口先介入が増えてくると、「あ、ぼくのロケットはいま、高度を上げているぞ」って思います。

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