見出し画像

『真珠とダイアモンド(下)』を読んだ

図書館から『真珠とダイアモンド(下)』を借りてきました。

上巻の冒頭にあったシーン。水矢子が井の頭公園で野宿するというところですでに一文無し。それが、後半どう描かれるのかが気になりながら読み始める。

第三章『ドリーム』から始まる。博多から東京へ出てきて、佳那があこがれていた東京ディズニーランドを間近に見渡せるマンションからの一望。
成功者を思わせる冒頭だが、夫の望月は焦っていた。

博多と違い、東京では学歴の高い者や萬三証券よりも大手な証券会社が幅を利かせている勝手が違う地域に後れをとる望月。そこで逆転を狙うには、ある人物に近づく事と行動に移す。そして、博多時代からの客・山鼻(やくざ)との金銭問題。

もう、嫌な予感しかない・・・。バブル景気は華やかでありながら期間が短いのもあって望月と佳那の生活は頂点に向かったかと思うと急下降していく。わかっているものの、読んでいて苦しくなる。そして、佳那を思う水矢子の心情。どれもとっても苦しくなってくる。でも、読む手を止められないのは桐野夏生さんの描き方が上手いから。

そして結末・・・井の頭公園では。

読み応え抜群でした。桐野夏生さん、面白い。次は、『燕は戻ってこない』を読みたくなりました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?