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考012 Huang custom boots

黄コーチはユニークな人物です。
まさに原義のユニークです。

スケーターとしては教え子たちほど輝く実績ではないですが(それでもトップレベルであるが)、世界チャンピオンとなった娘たちのほか、教え子には世界チャンピオン、アジアチャンピオンが両手に余り、そしてまるで父親のように慕われています。お祝いごとや慶事の折々にはコーチの家に集い、昔話に花が咲きます。
その度量の大きさは、チームどころか国を超えて世界へ向けられ、各国からその人柄を慕って集まってきます。僕もその一人です。
ここまでならまあ、ある話ではあります。

黄コーチは一コーチに留まらず、ついにはメーカーのライバル企業がそれぞれの製品化の助言を求めるほどで、常に試作品が届き、テストとアドバイスを繰り返しています。他方、国際連盟においても外せないポジションにいます。成功に終わった2015年世界選手権も黄コーチの強力な牽引によるところが大きい。公、私企業、選手、世界中のスケート関係者が黄コーチを必要としているといっても過言ではありません。当然ひっきりなしに電話がなり、来客があり、そして自身がとんぼ返りの出張の繰り返しで多忙を極めますが、ちょっと口角を上げる独特の笑顔が絶えたためしはないのです。

その無限とも思えるエネルギーは、さらに自分が理想とする靴作りへとつながります。これまで世界チャンピオンを輩出してきた理論に適った靴として、コーチ同様とてもユニークな靴が出来上がりました。

コーチ黄ブーツは2点において他と一線を画しています。
①フラットマウント
②ハイマウント

①フラットマウント
スケート靴は踵と母指球の下にフレームとの接点があり、普通、踵側は母子球側より1センチ弱上がっています。アイススケートも同様で、スケート始まって以来の100年変わらぬ構造です。ここを黄コーチは前後同じ高さで設計しました。
当然、従来のフレームは使えないので、フレームも併せて設計することになります。フラットなので前後が対称となり、前後ろを入れ替えてもつけられてしまいます。

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②ハイマウント
インラインスケートの、長くはない歴史の中でも、タイヤの大口径化に伴って、地面からの高さは徐々に高くなってきました。規格が高くなるごとに、コントロールが難しくなり、より筋力が必要とされるようになってきました。同時に靴の出せるスピードが上がってきたのも事実です。しかし、コントロールの側面から、可能な限り高さを抑える、というのが基本的なフレームの設計でした。黄コーチのフレームは、そこであえて1センチ弱の高さをプラスして作られてます。

2つの組み合わせは何をもたらすのか。
フラットマウントは、より強い前傾を要求する。
ハイマウントは、より大きな(身体の)傾斜とを要求する。
全体として、全身を大きく使う走りへとつながります。
滑り方に靴が合っていて速くなるかどうかというよりも、靴の要求する滑り方ができれば速くなる、といってもいいかもしれません。
しかしそこに黄コーチの理論指導がなければ、機能しません。靴とその扱い方、2つが揃って初めて、台湾選手の流れるようなスケーティングへと繋がるのです。

ちなみに、ハイマウントがどうしても難しい人向けに、ローマウントもあります。

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