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インラインスケートの選び方(スピード競技)③【メーカー(総合ブランド)】

スピード競技向けのメーカーで、信頼できそうなメーカーを挙げていきます。()内は取り扱い範囲です。辛口の部分もありますが、ここにあげるメーカーはどれを選んでも”失敗のない”クオリティを維持していると考えてください。

【BONT】(総合ブランド)
 スケート靴から始まった老舗中の老舗です。現在はスケートに留まらずロードバイクシューズでも有名になっています。フレームからバッグまでスケートに関わる全てがラインナップにあります。
 オーストラリアが拠点ですが、ヨーロッパ、北米のほか、台湾を筆頭にアジア圏にもかなり力を入れています。日本に最初に入ってきたスピード靴もBONTです。もともとラスト(足型)がアジア人に近かったのか、長年愛用する人も多く、また近年はアジアンフィットとしてアジア向けラストの靴も出しています。
 マウントが特殊な独自の3ポイントマウントも出していて、一定の評価がなされていますが、一般に定着するまではいっていない印象です。ただ、トップ競技者でも好きな人はずっとそれを愛用してたりします。
 流通量が多く、ネット販売にも早くから力を入れてきたので、店舗のない日本でも比較的近づきやすいブランドです。
 タイヤに関しては後述のMPCのBLACK MAGICシリーズのOEMで、RED MAGICを展開しています。また125mmでは独自のアルミ製ハブを出していて高い評価を受けています。RED MAGICのウレタンはBLACK MAGICと同じはずですが、微妙に感触が違い、ヨーロッパや台湾のトラックに相性が良いようです。

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【ROLLER BLADE】(総合ブランド)
 インラインスケートの代名詞となっています。北米から始まったメーカーですが、近年はヨーロッパ(伊仏西など)に拠点を置いているようです。もちろんつま先から頭まで全て揃えることは可能ですが、スピードというよりもスケート愛好者全体に向かうブランドなので、トップ競技者向けのラインナップは薄い印象です。近年のヒットとしてはタイヤのHYDROGEN PROがありますが、スピード競技に関しては突出した商品は見当たりません。それでも品質管理や作りの精巧さは折り紙つきで、失敗もないと言えます。日本からスピード用品にアクセスするのは、流通の面から難しいかもしれません。レモンイエローのスキンスーツはとてもカッコいいのですけど。

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【POWERSLIDE】(総合ブランド)
 メディアの使い方が上手く、全世界への発信力は随一です。特に傘下のMATTER WHEELは、タイヤメーカー「MPC」とレース界のシェアを二分しています。スピード以外のカテゴリにも熱心で、近年はフィットネス方向へ軸足を移そうとしている向きも見えますが、依然としてスピード競技への熱は大きいと言えます。
 数年前にTrinityという独自の3ポイントマウントを発表し、世界中から注目を集めました。構造的には理にかなっているはずで、実際スピード以外の分野ではかなり受け入れられていますが、スピード競技においては必ずしもヒットしませんでした。現在トップ選手で使っている選手は多くないようで、広告でも強く言わなくなりました。
 全ての道具が揃いますが、トップ選手のカスタムブーツはMaCargo氏に寄るもので、日本からのアクセスは非常に困難です。それでもストックブーツのラインナップはそれなりのクオリティがあり、十分に使えるものです。ただ、企業規模が大きすぎるのか、品質管理にこぼれが見えることがあります。多くは問題のない範囲ですが、ハズレくじを引く可能性があることも覚えておいて、そんなときはため息を付きつつ送り返しましょう。ダメだった時の対応はちゃんとしてくれる企業です。
 万人受けしやすいように”優しい”作りの靴が多いです。ただトップ選手にとっては”甘い”と取られる面もあります。
 あと、単純に見た目がカッコいいです。(大事)

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【Takino】(ほぼ総合ブランド)
 台湾発の新興メーカーです。といっても上記3つと比べての話で、すっかり定着してもう何年にもなります。勢いという意味では今現在一番と言えます。アジア人らしい丁寧で誠実な対応と徹底した品質管理は随一です。精密さが一つの売りでもあります。主力は靴とフレームとベアリングで、特にベアリング周辺の商品展開はスケート界に大きな衝撃を与えました。100分の1ミリ単位の調整はマニア心をくすぐります。
 靴はカスタムでも廉価で提供され、台湾のスケート人口拡大とレベルアップに大きく貢献しました。
 アジア系メーカーの靴の全般に言えますが、かなりタイトな(きつい)造りになっています。石膏で取った足型を削る加減でカスタムブーツのきつさが決まりますが、ヨーロッパ系は取ったままに近く、アジア系はどっさり削ります。好みを何も伝えない限りは脱ぎ履きに苦労するほどピッタリの靴ができあがります。靴と一体となって毎日戦うようなトップ選手には向いていますが、人によっては痛みに耐えかねる場合もあるので、カスタム製作時には足型製作者としっかり相談した方が良いでしょう。

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【Cadmotus】(総合ブランド)
  オランダベースの総合ブランドです。アイススケートから始まったメーカーで、フレームに独自の強みを持っています。直線的な剛性を高めたフレームや、125mmと110mm両方切り替えられるフレームをいち早く出したりしています。タイヤに関しては後述のMPCのBLACK MAGICシリーズのOEMで、BLUE MAGICを展開しています。
 ブーツに関しては独自のラインナップがありレースで使うのに十分なものですが、際立った特徴は見つけにくいです。サイズ可変のジュニア向けのしブーツがあり、全年齢に向けて展開しています。ストックブーツのネット流通量の面でも強みがあります。 

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【2FIT】(ほぼ総合ブランド)
始まって間もないブランドですが、スピードの強豪・韓国で蓄積したノウハウを一気に取り込んで作っているのでクオリティは高いです。世界選手権でメダルを量産している韓国トップ選手にも耐えられる品質で、Takinoのようにワールドチームも含め世界展開を予定しているようです。フレームは後述のisKoreaと提携して独自のラインナップに加えています。高すぎない価格帯でスケートの人口増を目指しているようなので、今後要注目です。

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Hiroqui Totori
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