フィリピンの貧富の格差に観るフィリピン人のお金に対する潜在意識

国民の8割とか9割が貧困層といわれるここフィリピン。実は、フィリピンに住み始めてから、どうにかして彼らが生活の質を向上させていく術はないものかと、庶民レベルでいろいろ探索していた。
ごく一部の富裕層が富を独占している構造が不可侵な状況であることは否めないにしても、しかしだからといって、富は有限ではないのだから、国民の8割が貧困層という状況がその対価として同時にある必然性はないと思うのだ。
そういう前提で考えると、国民の8割が潜在的に持っている富を得ないための考え方があるんじゃないかと踏んだ訳で。

まず潜入したのは、当国民の9割が信仰するカソリック教会。日曜礼拝に通い牧師さんの話を傾聴したり、バイブルスタディーに参加したり。
*4年前のブログ記事「教会潜入物語

しかし聞けども聞けども、真っ当な素晴らしき教えばかり。
それは、カソリックとかキリスト教とか、そんなカテゴライズ?すら馬鹿らしくなるくらい普遍的にとても大切な教えだ。なんなら他のメジャーな宗教などにも通じる精神性を感じて、疑問は深まるばかり。

それに対して、そこに集う人たちは、己の不幸を訴え、ただひたすらに"神のご加護"を乞う。
外に出れば、ポイ捨て上等、約束の時間に来ない、何かにつけて「お金貸して」。。
おいっ!バイブルの教えはそうなのか?!
突っ込みどころ満載で。。。

いや、なんていうか、、決して悪い人たちではない。
でもなんか主体性がない、というのか、己の人としての業に対する責任感がないなぁというのか、、。

確かに、歴史を紐解けば、スペインやアメリカ、日本などの外国による植民地時代が長く、主体性はむしろ奪われていたのだろう。一日本国民として、そこはゴメン…と思う。

一時期、我が家にもベビーシッターさん(当時20歳前後)が来てくれていたのだが、時間感覚が少〜しルーズ(酷くはない)なのと、お金がいつもない(2度ほどサラリー前借りしたが、いずれも完済。)けれど、根はとても真面目な子だった。口数はとても少ない恥ずかしがりやで、借金のお願いも面と向かってではなく、必ずメール。
私に遠慮も多分にあったろうが、劣等感とか自己肯定感の低さは感じていた。

ある時、彼女の仕事が手すきになった時に、当時私が勉強していたロバート・キヨサキの動画を一緒に見たことがあって。いざ共にお金の勉強をと。

一通り見終えて、彼女に感想を聞いてみたその応えがとても興味深いものだった。曰く、
「なぜ貯金をしなければならないのか??ここフィリピンは、少し郊外に出れば、お金が無くとも生きていくのに困らない。そこらへんに種蒔けば、野菜も果物も採れるし、海に行けば魚も漁れる。なぜこういう議論になるのかわからない。。」
と。

日本で生まれ育った私には衝撃発言だった。
もう、そもそも前提が違うのだ。寒い季節のある国で育った私の感覚と、凍え飢え死にする心配のない南国育ちの彼女とは。

このとき私が身をもって学んだのは、"蓄える"という感覚は、寒い季節のある国ならではのものであること、
彼女たちには、生活にゆとりができたら、自分にはどんな可能性があるのかということに対するイマジネーションが働かないし、全く自分事として考えられないこと、あるいはハナから諦めているようにすら感じること、
そもそも生活にゆとりのない現状をむしろ自ら選んでいる感じすらした。

話を教会に戻して、
教会では日曜礼拝の最後に、お布施を回収する。みなさんそれぞれに出来る範囲でお金を出している。その現場では誰も何も言わないが、籠が回ってきたり、匿名の封筒が配られたりする。
そして、暗黙の了解で、持たざる者はそれなりに、持てる者はより多くお布施を出す。

また、持てる者は持たざる者に施しを与えるという教えもある。それは「義務」くらいに強いものに感じる。
子どもたちの通う学校でも、年に何度か寄付を募って、"恵まれない人たち"に届けている。

こうした慣習を俯瞰してはたと思った。**
"むしろ彼らは持たざることを選んでいる!?"**
と。

なぜなら、持っていなければもらえるが、持っていればあげなければならないから。

これは我ながらしっくりきた。
少しずつでも貯めようとしないのも、あればあるだけ散財するかのように使ってしまう傾向も、なのにしょっちゅう「お金貸して」と来るのも、なんならぼったくりの精神も…笑、十分に説明がつく。

しかし、彼らにその認識があるかは疑問だ。多分ないんじゃないかと思う。
ていうか、潜在意識の信念だろうなと。
だからこそ見えにくく、根深く根強い。

フィリピンに住んで6年、内側から庶民レベルで観察した結果、フィリピンの貧富の格差は、この国の植民地の歴史と南国気質と持てる者は持たざるに与えるという教えの上に成り立っているようだと締めくくろうと思う。

じゃあどうしたらいいか?というところですが、、私の得意分野ではないので、ここからは頭の良い方に対策を投げたいと思います。笑笑

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