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ようやく、退職できました(安堵)

社会福祉法人の特養、退職の意思表示をしてから2ヶ月たらず、ようやく最後の勤務をおえて退職することになった。この短い期間でも、消耗して果てしなく長い時間に思えましたね。
 短期間の離職になるから、退職金もボーナスも支給されない。時給換算でいったら、派遣よりも安い賃金でこき使われただけ。
 この経験に、なにか意味があったのだろうか? 自分なりに振り返りをしたい。

浮き彫りになったユニットケアの重大欠陥。ユニット型に未来なし。
 
これまでの記事にも書いてきたとおり、ユニット型の施設は職員の負担がたいへん大きいとあらためて感じた。
 以前もユニット型の特養で働いていたが、そこでは早番遅番のほかに日勤者がいて、夜勤も16時間夜勤だから、それだけ勤務が重なるようになっていて、まだマシだった。
 今回の施設はまるで勝手がちがう。早番遅番しかおらず、ほんとの“一人勤務の体制”。夜勤者は朝の7時には帰るから、その後は早番が一人、遅番が12時に出勤してまた一人、早番は休憩の後に入浴介助に回る…そういう感じでこれがたいへん危なっかしいと感じられた。
 入居者の定員は10人だが、それも一筋縄ではいかない、面倒な方が多かった。異常にこだわりが強くて介入が難しい人や、クレーマーみたいな人もいて、その人は家族と連絡をとって施設の不満を洗いざらいぶちまけているようだった。そういう環境下での、一人勤務体制である。
 もちろん、薬を飲ませるのにダブルチェックすらできないし、移乗をするのに二人介助が必要な場合は、隣のユニットに助けを求めに行くのである。

ユニットケアをきちんと機能させる気があるのであれば、以前にも書いたことだが早番遅番のほかに、日勤、介護補助者、入浴パート、食介パートなど複数の介護職を採用して勤務が重なるようにし、相互に助け合うことができる体制をつくるべきだ。
 介護以外の他職種についてはどうだろうか。たとえば、リハとか看護師とかケアマネとが時々やってきて、介護職を呼びつけ、自分の用事がすんだらさっさと帰ってしまう…こういう光景には辟易させられるものがある。まるで、「ユニットで起きることはぜんぶ介護の責任で、私たちには関係ない」、そう言わんばかりの態度である。
 そこで提案したいのが、介護以外の他職種もユニットの所属にして、医務室とか事務室は廃止すること。そうやって、リハとか看護師とかケアマネとか介護以外の他職種であっても介護の現場に身をおいてもらい、現場の介護職と一緒に、肩を並べて働いてもらいたい。そうしてこそ、ひとつの“介護チーム”としての総合力を発揮できるようになると思う。

世の中には「ユニットケアは素晴らしい」と考えているような人もいるだろう。だったら、上記の改善点を実行してもらうなどして、速やかに勤務環境を刷新したらどうだろうか、と思います。それが難しいのであれば、ユニットケアはさっさと廃止するべきと思います。

入居者や家族にとって“いい施設”であることが、職員にとっては必ずしもいいわけではないし、働きやすいわけではまったくなし。
 
前にも書いたことだが、今回の施設は週刊誌に「関東の優良老人ホーム」の一つとして特集されるほど、評価のたかい介護施設だったらしい。それでは、働いてみてどうだっただろうか? わたしには、これほど窮屈で働きにくい環境はそうそうない、と思えるほどに日々が苦痛でしたね。
 入居者にとっていい施設だからといって、それは職員には当てはまらない、そういう現実があることを思い知った。それだけ高い基準を求められて、ちょっとちょっとでやることが多すぎるのである。また、派遣職員を採らない施設だったので、いまいる施設の職員だけで業務を回すしかなく、結果として人手不足が加速して現場が逼迫している印象だった。
 もし物事がすべて順調にいくなら、熟練したベテランが一人いれば業務はなんとか終わるだろう。しかし、なにか不測のことが起こったらもうアウト、誰か体調不良者が出たとか、コロナにかかったとかになったら、もう目も当てられない事態になる。よそのユニットから応援の職員が来たところで、そのユニットのことはなにも知らないわけだから、業務は滞るし、そうなるともはやカオス状態である。
 一般的には、派遣にたよらない施設は経営面からいい施設だと考えられる。一方、派遣を採らないことで外部からの職員の出入りが少なくなり、人員を充足できずに結果的に詰んでる感じがありました。
 あれもこれもやらないといけない、しかもそれがどんどん積み上がっていく切迫感。むかしの落ち物ゲームで、テトリスとかぷよぷよとかあったけど、どこかあれを連想させるものがある。どんどん業務や問題が降りかかってきて、常に追い立てられていて安心できない職場環境だった。

●的外れでとんちんかんな感染対策。
 今回の施設では、驚いたことに、職員に週2回の抗原検査を義務付けられていた。以前みたいに緊急事態宣言とかまん延防止法とかやっていた頃であれば、それもわからないこともない。しかし、いまの感染の状況でそれは妥当だろうか?
 そうやってお金をかけてコロナを防ごうとしている割には、現場では“手を洗う余裕も暇もないほど忙しい”のである。手洗いという最も基本的な感染対策がおろそかになっているのに、抗原検査なんかにお金と手間をかけて、まったくちぐはぐで一貫性の乏しい感染対策にわたしには思えます。
 そもそも、「無症状者にたいして抗原検査をやっても意味がない」とは以前から指摘されていた。当然、誤陽性も誤陰性もありえる。そうやって感染者のあら捜しを必死こいてやっておきながら、いざ抗原検査で陽性者が出たら大騒ぎしているわけで、無意味に疲れるしバカらしいと思います。

社会福祉法人という組織は、どこか“プチ共産党独裁体制”のように思えます。その閉鎖性、形式主義、硬直性など。今回入った施設に関しては、べつに後悔するようなことはないし、結果としてこういう結果になったというだけの話である。
 ただ心残りに思っていることは、これまでにnoteにつづってきたような施設に対する不満を、施設長などの管理者に直接伝える機会がなかったことだ。退職届の理由の欄には、“一身上の理由”とだけ。いったいそれで退職者の心情のなにが分かるというのだろうか?
 さて、ちょっと休んだらお次は、派遣で有料老人ホームで働くことなる。また、一から仕事も利用者の特性も覚えていかなくちゃならない。終わったことは終わったこととして、気持ちを切り替えていきたい。


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