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介護派遣、つづけるかやめるか。

今の職場に派遣で働きはじめて、一回は契約更新した。6月までの契約期間。問題は、この次も更新するかのどうか? 来月にまた、派遣会社から意向をきかれることになるだろう。

いちおう大手の有料老人ホームのグループである。週刊誌の老人ホームランキングでは、低価格帯とはいえそこまで悪い点数ではない。もっと悪い施設は他にもあるだろう。
 しかし入職した初日から、現場はぐだぐたになっていると感じていた。そこそこ人はいるのに、なぜか回っていない。そもそも、必要な物品が不足していて、必要なところに置かれていない。トイレの洗面では水が流れないし、誰も直そうともしない。入居者の部屋も共用ラウンジも、全体的に汚い。
 情報共有の仕方もあまくて、全体であまり共有されていないようにも思えた。不親切な職場で、誰に水分にとろみを付ける必要があるのか、入居者のADL情報を簡潔にまとめたシートもない。そういったことは、働きながら感覚的に習得していくしかない職場である。
 施設の職員たちも問題があることは分かっていて、なんとか現場を改善しようとしている。しかし、それをやろうとすると「上から文句」をいわれて、やる気をくじかれ、結局何も変わらないし変えられないのだと言う。

こんな職場でも、最初は一年くらいはいようかなと思っていた。それが、だんだんスパンが短くなっていき、半年くらいは勤めようかなと思った。それが今では、次回更新するかどうかで悩んでいる。
 折しも、先月から退職者が相次いで、現場の業務を回すのがたいへんになってきている。さらに、今頃になって感染症?が流行しているのか、入居者に発熱者が相次いでいて、食堂に集まることはしないで居室対応になり、職員はフェイスシールドなんか付けて働くはめになっている。
 世間ではようやくコロナも収束に向かってきているところに、ここの施設はいったい何をやってるのだろうか。

有料老人ホームというところは、2000年に介護保険制度がはじまって以来、急増した施設形態だろう。介護職員が確保できるという見通しもないのに、施設数ばかりバカスカ建てるものだから、おかげで介護現場を余計に逼迫させているようにみえる。
 一方、社会福祉法人や医療法人はといえば、旧態依然としたふるい体質を引きずっているように思える。そういうところの経営者や管理者は、たいてい高齢の男性が多いようにみえる。
 わたしはイノベーションあふれる革新的な組織で働きたいと思っていた。近年は、組織論や経営論にまつわる本もいくつか読んでいたからだ。しかし、実際に目にする施設といえば、こういう硬直化した、どうしようもない介護施設ばかりだなぁという印象である。

いま考えているのは、以前派遣で働いていた施設に、常勤で就職しようかなというところだ。いわゆる出戻りとでもいうのだろうか。そこも有料老人ホームだったが、ホスピスケアを売りにしている新しい施設だった。
 そこの施設も人手不足に苦しんていたが、新人に対して親切だったし、少なくとも現場を変えていこうという空気は感じられた。たとえば、派遣職員であるわたしにも、施設のどんなところを改善したほうがいいのか、介護リーダーがわざわざ訊いてきたことがあったのを憶えている。
 同じ施設に、今さらどの面さげて戻ってくるのか、という思いはあり、どこか気まずさを感じる。

いくらダメな施設だと思っても、同じ職場ではたらいてだんだん慣れてくると、一緒に働く仲間に安心感をおぼえ、“戦友意識”みたいなものが芽生える。まあもっとも、「おばヘル」、おばさんヘルパーとの間に友情が成立するとは思ってないけど。だから、職場を去るということは仲間を裏切るように感じられて、余計にしんどいというのはある。