見出し画像

仙台89ers:2024-25シーズン PSM(2024/8/31 vs山形 at 南陽市民体育館)短評&選手ファーストインプレッション

◯はじめに

仙台89ersの新体制が発足後、今季最初のPSMが山形ワイヴァンズの主管により山形県は南陽市民体育館で開催されることになり、ワタクシも早速観戦に行ってまいりました。

8/29には待望のフェリシオも来日し、ロースターがようやく全員揃いましたが、フェリシオはさすがに今PSMには来場はないかなあと思っていたらDNPだったもののしっかり帯同、駆けつけたファンの前でのお披露目ともなりました。

昨季からメンバーが7人が入れ替わった新生89ersはどんなチームに仕上がってきたでしょうか?


◯Game(8/31 14:00 TO)仙台77山形76

エントリーメンバーとスターターはこちら。

クラブの公式Xのポストではエントリーメンバーは12人おりますが、まえがきで触れたように来日したばかりのフェリシオがDNPだったほか、右手を負傷している渡辺とコンディションが整っていないのか青木もDNP、9名での闘いとなりました。

前半はフルメンバーの山形に対してフェリシオを欠く仙台は、インサイドで後手を踏みがちになりリバウンドがなかなか取れない。パスが合わなかったりのターンオーバーも多かったりしたのはまだ選手間のケミストリーが高まっていないところである程度やむなしというところはあったものの、そこは今後天皇杯やリーグ戦に向けて高めていくことを期待。

その後手を踏んでいたリバウンドから山形のトランジションに苦しむと、今季から加入の元仙台の俊野達彦や外国籍選手たちの正確な3Pで小気味よく得点を重ねられてしまう苦しい展開。2Q半ばまでは一時20点近い得点差をつけられるものの何とか踏ん張り前半終了時は47‐38で9点ビハインド。やはりちょっと失点が多くなってしまったが、チーム状況的にはいたしかたなしか。

後半になると、さすがに後手を踏みすぎたインサイドに落合HCも手を入れてきたか、星野、ヤンを中心に泥臭くインサイドに飛び込むシーンが増えてくる。またタリキを中心にバックコート陣のディフェンスがインテンシティを増すと、山形に前半のような思いどおりのオフェンスをさせなくなる。仙台はディフェンスが良くなるにつれオフェンスのほうもリズムが生まれ、3Qでは失点を10にとどめ、前半につけられた9点差を一気にまくって3Q終了時は58‐57と1点リードを取ることに成功。

4Qも立ち上がりから仙台が3Qの勢いのまま進むかと思ったところ、南陽市といえどもHomeでの意地を見せたい山形も反撃。一旦は山形に逆転を許すも、キッドの得点力やヤンのハッスルで再々逆転すると1点リードのまま最終盤、残り25秒のところで山形のポゼッション。このポゼッションで山形に得点を許すと敗色濃厚となりそうだったところ、気魄のディフェンスで24秒バイオレーションに持ち込み粘る山形を振り切って、今季初の有観客Gameを苦しいながらも勝利で飾ることができた。


◯選手インプレッション

ではさっそく今回出場選手のインプレッションをポジション別に見て参りましょう(#6クリスティアーノ・フェリシオ、#14青木保憲、#15渡辺翔太はコンディション調整のためDNPでしたので、インプレッションは別の機会に)。

PG:#8多嶋朝陽

渡辺、青木がDNPだったことからスターターPGを務めることに。途中山形の外国籍選手と交錯してフロアに顔面を強打した時はヒヤッとしましたが、頬のあたりのこぶや額の傷は痛々しかったものの脳震盪がなさそうだったのは一安心。プレイのほうは前半少し合わないところも散見されましたが、後半になると持ち味の切れ味の鋭い切り込みも見られるようになり、負けん気の強さも垣間見られる期待通りのベテランらしいプレイぶりでした。

PG:#13ディクソンジュニア・タリキ

渡辺、青木不在の中で多嶋とともにPGとしてハンドラーを務めるシーンもありましたが、特に後半になるとその持味のディフェンスでもってチームを引き締めたあたりは期待に違わず、勝利への流れを手繰り寄せる活躍を見せました。ディフェンスだけではなくオフェンス面でもハンドラーとしてしっかりゲームを作ったり、要所で3Pを決めていたのもよかった。また今季のベンチの賑やかしの一人として、チームのムードを盛り上げてもくれそうです。

SG:#22石橋侑磨

今Gameでは一番出番が少なかったかも・・・?(今のところスタッツが見られないので体感的にですが)とはいえ、おそらく今季求められるであろう3Pシュートは積極的に放っていく姿は好印象でしたし、ディフェンスもしっかり強度高く遂行できていたと思います。早くB1のプレイ強度に慣れてどんどん3Pを決めていってほしい。

SG:#91片岡大晴

チーム最年長ベテラン選手でありますが「ソルジャー」はまだまだ健在。今Gameではスターターを務めました。今Gameでも合わせのパスからの得意のニンジャバックカットを決めたりここぞというところの3Pでチームを鼓舞する大活躍。今季も若手が多いチームを引っ張り見守る存在として活躍してくれそうです。

SF:#2星野曹樹

先の決起集会でもいじられていましたが、キラキラしてましたねw実にさわやかな好青年という印象です。プレイのほうはフェリシオがDNPということで、割と長身でもあることからPF的な形が多かった。前半はチーム全体の連携が今一つだったこともあってそこまで目立つところはありませんでしたが、後半になって少し整理されるとインサイドで身体を張ったディフェンス、リバウンドや要所で決めるシュートに光るものを感じました。群馬では競争相手に一歩譲った形になりミニッツも多くありませんでしたが、ミニッツさえ得られれば、そのルックスだけでなく、プレイのほうでもより光を放ちそうな予感です。

SF:#7スタントン・キッド

星野やヤンと同様、フェリシオ不在の中でPF的な時間が多かった。ハンドリングしながら切り込んでのシュートや精度の高い3Pなど、秋田所属時代に嫌というほど味わった、おそらく今季彼に求められる役割としてのスコアリング能力を早くも発揮、これはやはり期待大。ただ外国籍がブースとヤンとで3人という中、かなり長いミニッツを出場せざるを得ない状況になってしまい、4Qではさすがに肩で息をするような状況になっていたあたりは昨季の負傷離脱以後からのブランクを少し感じました。もっとも今後はもう少し外国籍選手たちでミニッツのシェアはしていくのでしょうからそれほど心配はいらないでしょう。

SF:#9ヤン・ジェミン

ヤンも星野やキッドと同様にPF的にプレイ。とはいえ、先の日本代表vs韓国代表選でもあれ?なんか身体が大きくなった?と思ったように、体躯が昨季よりもガッチリしてきた感があって、もともと上背もあるのでウィングでなくてもPFとして十分にやっていけそうな感じに。今Gameでも昨季同様のハッスルプレイから、終了間際に値千金の逆転レイアップも決めてみせました。今季もその活躍に大いに期待できそうです。

SF:#23半澤凌太

半澤もスターターで起用。タリキと並んでディフェンス面での持ち味がある選手と思われますが、思った以上に体躯が強い感じで、オフェンス時に外国籍選手に当たり負けせずにぐいぐいと中に切れ込んでいくような姿が見られたのは頼もしい。今季は同ポジションの星野、キッドとプレイタイムをシェアしていく形でしょうか。タリキ、星野とともに今季注目していきたい選手の一人。

PF/C:#45ネイサン・ブース

一部界隈ではピーンと背筋が伸びる独特のシュートフォームから「ピンさん」と呼ばれているブースは今季も健在。相変わらずゴール下からのシュートのようにペリメーターエリアや3Pラインの外からこともなげにシュートを決めていく様を見ると、今季もやはり仙台の大黒柱となりそうです。また昨季は現大阪のゲルンとのコンビネーションも絶妙なものがありましたが、今後フェリシオとのケミストリーでどんなプレイを見せてくれるのかがとても楽しみです。


◯最後に

コンディション調整中の選手も何人かいる中ではありましたが、今季の仙台89ersの選手たちのプレイを実際に見ることができたのはやはり嬉しいし、シーズンの始まりを感じます。

全体的な印象としては、チームとしてのケミストリーはまだまだというところで、フェリシオが合流したところからどんどん高めていくことになりましょう。仙台と言えば「GRIND」というスローガンに象徴されるような泥臭いプレイ、特にディフェンスでの粘り強さが持ち味なところはありますが、今季は昨季ついて回ったアンダーサイズも新規加入選手で解消されたところがありますし、スコアリング能力に長けたキッドの加入でオフェンス力が向上しそうな気配もひしひしと感じました。

今後PSMとしては9/5に仙台89ersのクラブ20周年記念事業として台湾のフォルモサ・ドリーマーズとの対戦が仙台市カメイアリーナで、9/15~16には半ば公式戦でもある伝統の「TOHOKU CUP」が青森市で行われます。今回DNPだった選手のうち、チームに合流したばかりで今Gameは帯同のみだったフェリシオが9/5以降出場なるか、青木のコンディションや渡辺の負傷の癒え具合がどうなるかは気になるところではありますね。

そして9/21~23にはリーグ戦に先駆けて公式戦の天皇杯2次ラウンドが開催となりますが、ここで一つでも多くの勝利を掴んで10月から始まるリーグ戦に向けて勢いをつけたいところ。この天皇杯2次ラウンドを勝ち上がっていくと3次ラウンド進出決定戦で対戦する可能性が高いのは、今季リーグ戦と天皇杯の二冠獲得を公言してはばからない千葉J。もしそうなったら千葉Jは不動の日本代表PG富樫やNBAから凱旋の渡邊を擁するだけでなく優れた選手揃いのクラブではありますが、そういう相手の鼻っ柱をへし折るアップセットを見せてほしいですねw

いよいよ球春ならぬ球秋の到来です。今季も熱く楽しく仙台89ersの大黄援(ダイキエン)をしてまいりましょう!

それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?