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世界一の起業家、渋沢栄一

今日のおすすめの一冊は、田口佳史(よしふみ)氏の『渋沢栄一に学ぶ大転換期の乗り越え方』(光文社新書)です。ブログも同名の「渋沢栄一に学ぶ大転換期の乗り越え方」と題して書きました。

本書の中に「経営にとって本当に必要な『4つのこと』」という文章がありました。

実業界に身を転じた渋沢は、その後約20年にわたって、さまざまな企業や組織の立ち上げ、運営、経営に携わっていきます。その数はなんと500にも上ります。第一国立銀行を始め、日本鉄道会社(現・JR東日本)、東京海上保険会社、東京会議所瓦斯掛(現・東京ガス)、東京株式取引所(現・東京証券取引所)、ジャパン・ブリュワリー・コンパニー・リミテッド(現・キリンホールディングス)、札幌麦酒会社(現・サッポロビール)、清水組み(現・清水建設)・東京ホテル(現・帝国ホテル)など。
東京のあらゆる場所に渋沢の功績があると言っても過言ではないでしょう。今で言うところのスタートアップですが、多くの企業が現在も存続していることに驚きます。渋沢の「事業やビジネスに対する考え方」がいかに本質を突き、サステナブルなものかが窺い知れます。渋沢は会社を立ち上げ、経営していくにあたり大切なことを4つ挙げています。
①道理正しい仕事か。②時運に適しているか。③己の分にふさわしいか。④人の和を得ているか。 どんなに儲かる商売でも「道理正しい仕事」でなければいけない。これは渋沢栄一のメッセージの根幹でもある『論語と算盤』そのものです。道理正しくなければ、決して長続きはしない。それこそ、渋沢の中心にあるビジネスマインドです。
そして「時運に適しているか」「大衆のニーズを捉えているか」と言い換えてもいいでしょう。道理正しいだけではビジネスはうまくいかず、時代のニーズも大事である、と渋沢は説いています。
さらには「己(自分)の分にふさわしいか」。これもなかなか大切な視点で、いかに道理正しく、時運に適していたとしても、分不相応のビジネスでは決してうまくいきません。いたずらに大風呂敷を広げるのではなく、自分の身の丈にあったことをすべし。そう渋沢は教えています。
最後は、「人の和を得ているか」。今の言葉で言えば、コミュニケーションやコラボレーションにも通じるものです。リーダー一人が暴走し、誰もついて来ないような組織ではうまくいかないでしょうし、自社のことだけを考えて、顧客や取引先、関係者とのつながりをないがしろにしているようでは商売は成り立ちません。そんな四つを渋沢は挙げています。

渋沢栄一は、世界一の起業家と呼ばれています。これだけの数の会社を立ち上げ、しかもその多くが未だに継続して営業している…。そんなことをやってのけたのは世界広しと言えども渋沢栄一しかいません。

多くの人は自分の会社を起業するということなしに生涯を終えていきます。ですが、ユニークで、しかもマーケットで評価されそうなアイデアを持っている人は世にたくさんいます。しかし、それを起業という形で実践する人はごくごく少数なのです。ここにおいて、渋沢の実行力と実践力のすごさが分かります。

世界33ヵ国の中で、最も起業(スタートアップ)したくない人が多い国は日本だという残念なアンケート結果がありました。渋沢のように500とはいいませんが、これからの時代、誰もが「論語と算盤」の理念に従って、自分の会社を1つか2つ作る、というのも大事かもしれません。そしたら、失われた30年も取り戻せるような気がします。

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