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ダンメモ 5周年記念イベント ナイツ・オブ・フィアナ 第三部 真勇蹄跡感想(ネタバレあり)

この投稿にはダンメモ5周年イベント第3部のネタバレが含まれます。まだプレイしていない方はブラウザバックをお願いいたします。

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嘘を真実に変え、少年は「勇者」となった。かつて道化に導かれて出港した「英雄の船」を、決着の地、最果ての大穴へ導いた「光(フィン)」。真の勇気が切り開いた、未来へ続く希望の轍。

大森先生、運営スタッフの皆様、本当にこの物語を届けてくれてありがとうございました。




第二部にて復讐を成し遂げたフィン。燃え尽き、自ら朽ち果てようとした彼の前に現れたのは・・・・・・・

相も変わらず暴力大正義なアマゾネスの大戦士、エルミナ。とてもあのアルゴノゥトの物語から20年後とは思えない。どうみても2~3年くらいしか経過していない。これが美女キャラに作者(かみ)から与えられる加護か。
44歳でこの見た目とかいろいろ多方面に謝るべき。

燃え尽きたとはいえ、こんな暴力女に殺されるわけにはいかないとエルミナを跳ねのけるフィン。あぁ、その結果・・・・

3年前、アルゴノゥトプレイ時の自分に「エルミナはフィンに似た金髪碧眼で超絶強い小人の騎士に惚れてハート目になるよ」と言ったら信じただろうか・・・・・・
ティオネ→→フィンはやはり運命だったということだ。もう諦めよう。


そんな寸劇をフィンが繰り広げているころ、

王と上位貴族たちの全滅という危機を前に、「外征」によって国を纏めることを選択したフェリス改め女王アルキティーネ。内部対立が深刻化するのを防ぐため、国民の目を外に向けるというのはありがちな選択ですが、この状況においては最適解。切っ掛けは何であれ、人類の総力戦体制がこれで整う。

フィンの帰還を信じるドヴァール。その信頼はフィンとディムの二人を知る家族だからこそか。
1部でもそうだったが今回はこの4兄弟が本当に全員いいキャラをしている。フレイヤ様は絶対にこのころから4兄弟に目をつけていたと確信する。


耳に痛いことを躊躇なく口にするフィネガス。思えば第二部の頃から、フィンが気づかないふりをしていることを容赦なく指摘していた。フィンからすれば苦々しい限りだろうが、この冷たさがあったからこそフィンを10年間導けたのではないだろうか。憎悪でフィンの頭が燃えかける度に、この精霊は冷や水をぶっかけてきたのだろう。

ダンまち世界の精霊についても改めて確認。この世界の精霊は基本的に英雄を助けることを目的として神々に作られたロボットのような存在。そのため本来その自我は薄いものだという。確かにクロッゾと共にいた火の精霊「ウルス」には流暢にしゃべるシーンは無かった。しかし中にはフィネガスのように特別な目的と高度な自我を与えられた個体もいる。では風の精霊「アリア」は如何なる精霊だったのか・・・・

フィネガスの目的もここで明かされた。高度な自我を持ったがゆえに、下界の在り方や神々の意思、そして己の存在意義にも思うところがあったこの精霊。彼が欲したのは、与えられたものではない、自分だけの「生きた証」。そのために「賢者」として「騎士」を導き、その「物語」を見届ける。



フィンの帰還を信じる英傑たち。フィンの瞳に宿る憎悪を察してなお、彼ならば乗り越えるという頼もしい信頼が嬉しい。ガルムスとユーリが己の憎悪を乗り越えたその切っ掛けはアルゴノゥト。死してなお、彼らの心に道化は生き続けている。



もうフィン・ディムナはティオネルート確定だろこれ(いいぞ、イチャつけ~~~~~~~~~~)


フィンを連れ戻すべくやってきたラザル。無二の友と思っていた相手が自分たちを置いていこうとするのなら、当然腹も立つだろう。真っすぐな彼ならば、フィンの生きる理由になり切れない自分自身にも腹を立てているのではないか。

友として、ラザルがフィンに伝えたことは二つ。

たとえ偽りであったとしても、ひとたび「勇者」として人々の希望となったのなら、その責任を果たさねばならない。騙し、傷付けた人々に詫びる気があるのなら、それこそが責務。

そして何よりも、ディムとしての「誓い」を思いだせ。
これは紛れもなく、ラザルでなければ口にできなかった言葉だ。

憎悪と怒りのまま突き進んだ10年間の中で忘れていた「誓い」。とうの昔に砕かれた、幼く愚かであった時代の残骸を握りしめ、少年は再び立ち上がった。

元ネタであろうアイルランド神話においては、英雄フィンの凋落の切っ掛けとなってしまった騎士ディルムッド。
しかしこの物語において、ラザルは無二の友と出会い、ただのディアミッド(ディルムッド)ではなくなった。故に、ラザルこそが勇者フィンを復活させる。


フィンの武勇と指揮のもと、橋頭堡となる城砦を奪還し、ついに大穴への侵攻作戦を開始する人類。ここで負ければ後はない。正真正銘、世界の存亡を賭けた戦いが始まろうとしていた。
人々に不敗の確信を抱かせるものをこそ名将


黒衣の下に隠した素顔を明らかにしたゴォール騎士団一同。やはりアストレアレコードに登場したロキ・ファミリアの古参組だった。多くのものを失い、戦い続けても、英雄には至れなかった戦士たち。確執を乗り越えて、売れ残った自分たちの命を勇者に託すと覚悟を決める。


何回かタヒんでくれラザル。来世でもこんな美少女と結ばれやがってこの○○○○!!!!!

全ての仕事をアルキティーネに押し付けられて過労死しかけているマルディ宰相。良かったな、生まれかわったら望み通りエルフになれるぞ。


大地に満ち溢れるモンスターの大群を前にひるむ人類の連合軍。女王として的確に彼らを鼓舞するアルキティーネ。ここまで前世のキャラクターを活躍させるなら、ダンまち・ソードオラトリア本編のアキにも大きな見せ場が欲しいところ。


来た!勇者の大演説
ソードオラトリア第4巻でも読者の心を震わせた勇者の激励をここで持ってくる。これでアガらないダンまちファンなどいない。

そして当然この煽りもやる。ユーリが、ガルムスが、エルミナが、これを聞いて奮い立たない訳がない。
第3部はソードオラトリア読者はここで滾る!というポイントを余すことなく突いてくる。

決戦の火蓋は切って落とされた。人類の前に立ちふさがるのは大地を埋め尽くす魔物の群れと、強力無比な光線を武器に大穴を守る孤王、「単眼の王(バロール)」

小説では我らがオッタルさんが深層まで一人で潜ってボコったことしかわからない孤王のビジュアルもお披露目。どことなく巨〇兵とか使〇とか言いたくなった。目からビームが出たりすると猶更。
元ネタであろうバロールはフィン・マックールと同じくアイルランド神話に登場する魔眼の王。自らの孫である光の神ルーの投石によって討ち果たされた、恐るべき巨人。この物語のボスとしてはもってこいの配役だ。
眼から恐るべき光線を放つ設定は、元ネタのバロールにも見たものを殺す魔眼を持っていた、という伝説があるからだろうか。

フィンの指揮の下、ギリギリの戦いを繰り広げる人類連合軍。読者も「行ける!行ける!行ける!」と盛り上がったその瞬間、戦場に潜んでいたもう一つの脅威が彼らの前に立ちふさがる。

絶望感マシマシで登場したウダイオス。杭も骨の剣も遠慮なく奮い、人類の希望を打ち砕かんとするもう一人の孤王。警戒心ゼロだったところで地面からコイツが出てくるとか悪夢以外の何物でもない。ゲームならコントローラーを放り投げている。ダンジョンはクソゲーメーカー。

しかし、侮るなかれ骸の王よ。お前の前に立つのは数多の戦いを潜り抜け、人類の希望を背負って立つ本物の英傑なのだから。

絶望的な戦況でもなお立ち上がる英雄たち。その脳裏に浮かぶのは、どこまでも腹立たしい「道化」の顔か。また彼に笑われるわけにはいかないと己を鼓舞し、骸の王に挑みかかる。


しかし、本当の死地にいたのはフィンとその騎士団。もはや逆転の可能性はバロール目掛けた「特攻」しかないと覚悟を決める彼らと、運命を共にするべく駆けつけるラザル。

そんなラザルを気絶させ、ルアーノと共に戦場を離脱させたフィン。最期まで傍らにありたいという友を再び裏切った、その理由は彼女の言葉を聞いてしまったから。

どうにも騎士らしくないルアーノを、フィンが入団させた理由。情けなく、みっともなく、それでもギリギリまで、べそをかきながら騎士たちについてきた彼に、過去の自分を重ねていたフィン。ディムがこの世から完全に消えてしまわなかったのは、ルアーノがいてくれたからかもしれない。だとするなら、情けなくて弱虫なルアーノもまた、世界を救う一助になったということかもしれない。


そして再び始まる「至上の一槍」。勝算などもはやない。ただ「勇者」としての責任を取るため、死にむかって走るフィンとフィアナ騎士団。画面の前で「待って、待って、待ってくれ」と声が出てしまったシーン。それほどにここの悲壮感は耐え難いものがあった。


一人、また一人と欠けていく騎士団。フィンの傍らにあり続けたアルフも遂に倒れる。フィンもまた、自らの終わりに向かって飛び込んでいく。

フィンがもはや死を受け入れていることを察したフィネガス。口調は変わらないがそこには確かにフィンを案じ、再び立ち上がれと願う必死さがあった。自分を「賢者」と呼び、フィンを導くものだと定義していたフィネガス。しかし自分は、この時のフィネガスはそんな一歩引いた立ち位置ではなく、もはや「家族」としてフィンを案じているようにも思えた。10年間育ててきた教え子。世話のかかる小僧。フィンはフィネガスにとって一種の「作品」であったが、同時にかけがえのない「宝」でもあったのではないか。フィネガス自身はそんなことは意識していないだろうけれど。


それでも、諦めてしまったフィンが終わりを迎えようとしたその時、、、

予想外過ぎた援軍。天の炎をもってフィンにむらがる魔物の群れを焼き払い、バロールへの道を開いたのは聖域の守護者・大英雄エピメテウス。
この時の彼はすでに世界に絶望してしまっているのだろうか。

たとえ地に堕ちたとしても、まだやれることがあるならと、新たな英雄の元に駆け付けた、かつての英雄。フィーナ達の説得によってオリンピアから到着したことが示唆されたが一体どのようなやり取りがあったのか。5周年イベ直前にも関わらず、光エピメテウスを5凸した筆者には嬉しすぎるサプライズ。結局まじめすぎるんだ、この漢は・・・・。なんやかんやと人々を救いに来てしまうのだから。



どうして、こんな自分(フィン)をみんなが助けようとするのか、これほどの絶望の中にあって何故? そう問いかけるフィンにフィネガスが答える。お前が見せる背中、お前が見せる勇気が、人々に力を与える、英雄神話が生まれるのだと。そして、かつてのお前は、誰よりもそれを見てきたはずだと。

もう戻らない、大切な家族たち。
いつも自分の「前」にいた。
その背中に「勇気」をもらった。
彼らのようになりたいと願った。
彼らと共に、未来へ行こうと誓った。


勇気とは何か。その答えに、ついに辿り着いた偽りの騎士は、今こそ本物の勇者となる。

命の全てを賭して、「前」に向かって放たれた勇気の一槍が、大穴への道を切り開いた。




勇者に置いて行かれた英雄たち。立ち止まることは許されない。彼らの前に待つのはすべての元凶、「大穴(ダンジョン)」。その結末が、いずれ描かれることを信じて。






そして現代へ

フィンとリリが結ばれることは、おそらく無いのだろう。彼女がフィンの野望とは別の道を歩むこと、それこそがディムの願いなのだから。それでも、この二人の間には特別な絆が育まれていると信じたい。

今は亡き「賢者」に代わり、「勇者」を見守る鍛冶神。
命尽きるまで「勇者」と共に駆け抜けた「賢者」。彼が生み出した真の騎士は、天上の神の心さえ動かす傑作だった。精霊・フィネガスは確かに、生きた証をこの世に残したのだ。

それは、果てなき勇気と誓いの物語。



ダンメモ5周年イベント、本当に最後まで素晴らしい物語でした。フィンという勇者の物語として、あるいはアルゴノゥトの続きとして、完璧なものを届けてもらいました。

絶望の時代にあって、人々を導く光、勇者の英雄譚。フィアナ騎士団が紡いできた勇気、その意志が、フィンの中に確かに受け継がれ、憎悪と怒りの10年を経て蘇ったこと。たとえきっかけは偽りであったとしても、成し遂げてきたことは決して偽りではなく、その背中が、その雄姿が、人々を奮い立たせ、歴史を変える大きなうねりとなった。勇者フィンもまた、ダンまちの主人公なのだと確信を得ました。

ダンまち本編ではフィンは人類を率いる英雄となり、そしてベルも英雄の座に上り詰めようとしている。彼らがいれば、たとえどれほどの絶望がこの先に待っていたとしても、人類は打ち勝つ。そう信じられるほどの熱が今回の物語にはありました。


制作に携わったすべての人に感謝を。今後もこの作品を応援し続けます。



大森先生、アルゴノゥトと一緒にこれも書籍化して?????????
劇場アニメ3部作とかでも・・・・・

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