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#スローシャッター マガジン Vol.5 こんな大人になりたいと思った 〜稲田万里からの手紙〜

『スローシャッター』という本が、12月16日に出版される。

田所さんが本を出す、と聞いたのは今から約一年前だった。

それを聞いた時、なんの疑問もなかった。

『見つかる人はどこにいてもなぜか見つかってしまう』ということを私は昔からなんとなく知っていた気がする。

これを言うと後からそんなことを言いやがって〜、という声が聞こえてきそうだが仕方ない、私の体感としてそうだったのだから。話を聞いて、それが無理がなく耳を通り越し心に入ってくる場合、それは後にいろんな人を巻き込んでいくものになると思う。未来に通じるストーリーは、体を脱力させ平和にさせていく。

私も先日、『スローシャッター』と同じ出版社であるひろのぶと株式会社より第一作品を出版したばかりだ。正直、田所さんよりも先に出るということは私を緊張させた。自分のことよりも彼の本が出ることの方が、すんなり納得できたからだ。

私は普段、不思議な世界を扱う怪しい占い師として生活している。毎日いろんな人の癖や人生を見ている。会った瞬間にその人が抱える思いと葛藤が見えはじめて、話してもないのに疲れることもしばしばだ。だからなるべく見過ぎないように冷静に仕事をしていく。

しかし田所さんは、会っても疲れない。
相手の心に溜まった虚しさを、溶かそうと動き、励まそうとする精神を感じる。あまりのやさしさに申し訳なくなり目が合わせられなくなることもある。

段々と怪しい話になってすいません。
めちゃくちゃ続けます。

彼にはこんな怪しい話をしたことがない。ここの場を借りて手紙を書くつもりで言う。

他の人が田所さんと同じ場所に行き、同じ体験をするかと言えばNOだ。それが今回、彼の本でも如実に出ていると思った。人の心がケーキだとしたら、彼は確実に綺麗に切れる角度で無理なく入刀してくれる。柔らかくて安定しないものにも、かたくて刃が壊れてしまいそうなものにも、柔軟に合わせようとする。

切られたら最後、運命は重なっていく。運命なんて重ねれば重ねるほど物語は産まれるが面倒くさい。それを面倒くさがらず、むしろ楽しんで重ねていこうとするニンゲンの書く文章が人の心を動かさないわけがない。

発売まで、あと2日。

これから彼の読者になろうかなと迷っているあなた、もうすでにファンであるあなた、何も思っていなかったあなた、お楽しみに。

本棚にスローシャッターがある日常、カバンに持ち運ぶ光景、そのどれもがこの本のどこか一部に重なることを祈ります。

背中を追います、いつまでも高いところで跳ねててください

稲田万里。
中央線の占い師。

* * *


イベントのお知らせ

12/23(金) 20:00〜 下北沢 本屋B&Bにて
『スローシャッター』刊行記念トークイベント

来場参加はもちろん、配信、見逃し視聴もあります◎

12/29(木)19:00〜 梅田ラテラルにて
#全恋 #スローシャッター  ジョイント大忘年会」

現地参加はもちろん、配信チケットもあります◎

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