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「湖東事件における供述弱者の問題を「官製グルーミング」の視点で説き起こした連載の3回目」という鴨志田裕美弁護士


- かもん弓(鴨志田 祐美)(@kamo629782)さんの返信があるポスト / X https://twitter.com/kamo629782/with_replies


- Xユーザーのかもん弓(鴨志田 祐美)さん: 「湖東事件における供述弱者の問題を「官製グルーミング」の視点で説き起こした連載の3回目。 その背景に横たわるジェンダーバイアスの問題を指摘した鴨志田のインタビューを、元中日新聞論説委員の秦融さんが抜群の筆力で記事にしてくれました。 ぜひ、お読み下さい! https://t.co/3Ze2blLjSO」 / X https://twitter.com/kamo629782/status/1730435080601121100


- 冤罪を生み出す不正捜査 警察・検察の「ジェンダー・バイアス」が背景に | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) https://forbesjapan.com/articles/detail/67583


ジャニーズ問題でクローズアップされたグルーミング(権力者が未成年者をたぶらかす行為)にも似る手口で冤罪がつくられた呼吸器事件の取り調べ室では、警察が不正な手段を重ね、恋愛感情を利用して無実の女性の自白を誘導していた。

鴨志田祐美弁護士(本人提供)

ジャニーズ問題でクローズアップされたグルーミング(権力者が未成年者をたぶらかす行為)にも似る手口で冤罪がつくられた呼吸器事件の取り調べ室では、警察が不正な手段を重ね、恋愛感情を利用して無実の女性の自白を誘導していた。

法令遵守が求められる捜査機関がなぜ暴走したのか。西山さんの国家賠償訴訟の弁護団メンバーで日弁連の再審法改正実現本部・本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は「根深いジェンダー・バイアスが背景にある」と捜査機関の性差別的な組織体質を指摘する。

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1年後、少年院を出た少女は鴨志田さんに挨拶に来た。その後、美容師になり、地道に社会生活を再スタート。立ち直ったかのようにも見えたが「そうではなかった」と鴨志田さんは言う。



「男にだまされたことによるトラウマは根深く、その後もずっと精神科の病院に通っているんだそうです。今も立ち直れていない」



西山さんも刑事に「起訴してからも会いに行く」「俺が一生面倒を見る」(本人の獄中手記、手紙などによる)などとささやかれ、言葉巧みに誘導されて自白調書を作られた。刑務所に入ってだまされたことに気づいたが、出所後も「刑事を憎めない」と苦しみ続ける様子を間近に見る鴨志田さんは「少女がトラウマに苦しむ姿と重なる」という。

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鴨志田さんは、被害者側の状況だけではなく、加害者側の目線にも目を向ける。少女を都合よく利用して金づるにした男と、都合のいい自白を維持させるためにジュースを飲ませたり抱擁に応じて労わる素振りを見せて犯人に仕立てた刑事。その両者に女性を見下す同じ“目線”を感じる、という。



「社会経験の少ない未熟な女性に対し、優越的な立場にいる男が『こう扱えば自由にできる』と相手を見下し、自分の利益を得るためにたぶらかすような真似をしたという点で、美人局の男と刑事とには共通する感覚があるように思います。その結果、ひどく心を傷つけ、女性の尊厳を踏みにじったことは両者とも同じです」

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警察側が「不正や違法な手口を一方的にエスカレート」 さらに詳しく分析した上で、この冤罪事件を検証する。


西山さんは「殺してない」と訴えても無視され、刑事の思惑通りに殺人犯に仕立てられた。冤罪の罠に落ちた無実の人に“自己責任論”を持ち出す声に対し、鴨志田さんはこう反論する。

西山さんは「殺してない」と訴えても無視され、刑事の思惑通りに殺人犯に仕立てられた。冤罪の罠に落ちた無実の人に“自己責任論”を持ち出す声に対し、鴨志田さんはこう反論する。



「不正や違法な手口を一方的にエスカレートさせたのは警察です。無実の“若い女性”が逮捕されて留置場に入れられ、取り調べ中には、女性警察官を室外に控えさせることで2人きりの状況を意図的につくっていた。未熟さと寂しさにつけ込んで、好意を向けさせるために不正な手段をどんどん重ねた。エスカレートする警察に乗せられた彼女に落ち度があるというのは、筋違いでしょう」



美人局の男は金のため、刑事は出世欲のため、女性に大きな犠牲を負わせた、ということになる。しかし、両者には「見落とせない決定的な違いがある」と鴨志田さんは強調する。



「美人局は男も女も民間人ですが、取り調べは公権力なわけです。西山さんのケースは公権力が税金を使ってやったこと。市民として見過ごしてはならないのは、ここです」

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「入り口(逮捕の段階)までは刑事の個人プレーだったかも知れないが、それ以降は組織全体でやっている。警察だけではなく、検察も一緒になって。刑事は彼女から自白を取って、殺人犯に仕立てるという命題を帯びた組織の歯車として動き、取調室で『2人だけの世界』をつくって無実の彼女を犯人に仕立てた。

どこまでが個人の判断で、どこからが組織的だったのか。



「入り口(逮捕の段階)までは刑事の個人プレーだったかも知れないが、それ以降は組織全体でやっている。警察だけではなく、検察も一緒になって。刑事は彼女から自白を取って、殺人犯に仕立てるという命題を帯びた組織の歯車として動き、取調室で『2人だけの世界』をつくって無実の彼女を犯人に仕立てた。男女の恋愛感情を利用しているのは、誰の目にも明らかだったはず。女心をくすぐって自白を取っている、などということが分かったら、普通は誰かが止めなければいけない。



『このやり方、さすがにまずいんじゃないか』『やっちゃいかんだろ』と。誰1人いなかったどころか、むしろ組織で焚き付けた。絶望的ですよね、組織化した時点で。なぜ、理性が働かなかったのか、そこが不思議で仕方がない。引き返せないのがあの組織の特性で、本当に今回もストーリーができたら2度と戻らないことが証明されてしまった」

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警察行政に改善を促すべき政治は世界最低クラスの138位となっており、男性社会の権化のような捜査機関の実態が改善する兆しも可能性も皆無の状況だ。


「西山さんとの『2人の世界』をつくった刑事は彼女を犯人に仕立てたあとは、元の世界である組織に戻っていった。だけど彼女は今も『2人の世界』に取り残されたまま元の世界に戻ることができない。

鴨志田さんは言う。



「西山さんとの『2人の世界』をつくった刑事は彼女を犯人に仕立てたあとは、元の世界である組織に戻っていった。だけど彼女は今も『2人の世界』に取り残されたまま元の世界に戻ることができない。この差が、一方は加害者であり、他方は被害者である、ということを示す決定的な事実です。美人局の男はちゃんと少女に手紙を書いただけ、まだ人間性があった。西山さんをだました刑事は今もって人間性が欠如したままの状況。組織ぐるみで彼女を利用した警察、検察も同じ。重大な人権侵害を引き起こしておきながら説明も謝罪もなく、何の責任も取ろうとしない」



国賠訴訟の法廷では、西山さんの取り調べをした刑事、捜査責任者、司法解剖した鑑定医、検察官が証人尋問を受け、説明を求められることになっている。



▼「官製グルーミング」を報じるシリーズ(全3回)

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