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大川原化工機事件の国賠訴訟判決に関連したジャーナリストの江川紹子氏のX(旧Twitter)ポストや記事の記録

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2023-12-28_204028_- 何より検証と反省が必要~大川原化工機事件の国賠訴訟判決から見る警察、検察、裁判所、経産省の問題(江川紹子) - エキスパート -.jpg

警察の逮捕、取り調べ、それに検察官が行った勾留請求及び起訴。生物兵器製造に転用可能な機械を許可なく輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴を取り消された大川原化工機の社長らが起こした国家賠償訴訟で、12月27日に出された東京地裁(桃﨑剛裁判長、板場敦子裁判官、平野貴之裁判官)の判決は、警察・検察による強制捜査と起訴のプロセスを「違法」と断罪した。

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都合の悪い供述を無視
 訴えたのは、同社と大川原正明・社長(74)、島田順司・元取締役(70)、それに勾留中にがんがみつかり、2021年2月に亡くなった相嶋静夫・元顧問の遺族。
 本件では、同社が製造した噴霧乾燥機を中国と韓国に輸出したことが問題とされた。経済産業省令では、輸出を規制する機械の要件として、内部を「滅菌」または「殺菌」できることを挙げている。警視庁公安部は同社の噴霧乾燥機を空だきすれば、細菌類を死滅させられるはずで、この要件に当てはまるとして捜査に乗り出した。しかし、任意の事情聴取を重ねる中で、噴霧乾燥機の設計を担った相嶋さんや同社社員は、繰り返し「機械内部には構造上温度が上がりにくい箇所があり、警察が対象にしている細菌を死滅させることはできない」と述べていた。にもかかわらず、警察も検察も、それを無視し、指摘されている箇所の温度を確かめる実験なども行わず、当初の見立て通りに突っ走った結果、やはり有罪立証はできないとして起訴を取り消すことになった。

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「通常要求される捜査」を行わなかった検事
 国賠訴訟の判決は、警察の捜査だけでなく、検察官による起訴についても厳しい評価を行っている。担当の塚部貴子検事が、他の検事から同社社員が温度が上がりにくい箇所について述べている、との報告を受けていたことを挙げ、「塚部検事が通常要求される捜査を遂行すれば、本件噴霧乾燥機が規制対象に当たらないことの証拠を得ることができた」と指摘。そのうえで次のように判示した。

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酷すぎる警察の書面作成経過
 判決は、警察の取り調べの違法も指摘している。たとえば島田さんの逮捕直後の弁解録取書作成の経緯。
 弁録は、逮捕容疑に対する被疑者の言い分を聞き取って記録するものなのに、警視庁公安部の安積伸介警部補(現・警部)は、事前に書面(弁録1)を作成しており、それを島田さんに示して、署名押印を求めた。
 島田さんは、文中の「大川原社長と相嶋顧問から指示された方針に基づき」と書かれた部分を、「ガイダンスに従って、許可の申請の要らないものと考え輸出した」と修正するよう求めた。すると安積警部補は、パソコンで指摘された部分を削除し打ち直す風を装って、「社長らと共謀して無許可で輸出した」という趣旨の、島田さんの主張とはまったく異なる記載に書き換えた文書(弁録2)を作成、印刷した。島田さんは、ちゃんと訂正されたものと思い、署名をしたが、その後改めて確認して、全く違う内容になっていることに気づき、強く抗議。安積警部補は、当初の文書(弁録1)から問題部分を削除した新たな書面(弁録3)を印刷し直し、島田さんはそれにも署名した。
 判決は、「欺罔(=欺くこと)」という強い言葉を使って安積警部補の行為を非難している。

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安積警部補はその後、弁録2をシュレッダーにかけて廃棄。文書捏造の”証拠隠滅”が疑われるところだ。同警部補は裁判で「過失により裁断してしまった」と主張したが、判決は安積警部補の供述は「不自然と言わざるをえない」と退けた。

 原告代理人の高田剛弁護士は、「安積警部補の行為は、公用文書等毀棄罪にあたる」と批判する。

 判決は、他にも安積警部補が島田さんを騙して供述を引き出した事実も認定。やはり「偽計を用いた取調べ」と強い言葉で批判した。

 それでも判決は、証人となった現職警察官が捜査について「捏造」と述べたことには触れず、安積警部補の行為以外は、警察が「通常要求される捜査」をやらずに「漫然と」逮捕に至った、などの表現で逮捕の違法性を指摘するに留めた。

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2023-12-28_205821_安積警部補はその後、弁録2をシュレッダーにかけて廃棄。文書捏造の”証拠隠滅”が疑われるところだ。同警部補は裁判で「過失により裁断して.jpg

検証と再発防止を求める原告
 原告らは、判決後の記者会見で、警察や検察が今回の判決の指摘を受け止め、自ら検証して、同じことが二度と起きないような対策を口々に求めた。

 島田さんは、本件訴訟の目的を①事実の解明 ②自身の名誉回復 ③再発防止だと明かしたうえで、こう語った。

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立件できなかったのに教団のテロと決め打ち
 この時警視庁公安部が行ったのは、警察トップがターゲットになった重大事件を未解決で終わらせたことへの検証と反省ではなかった。公安部長が記者会見を開き、事件は「オウム真理教の信者グループが教祖の意思の下、組織的・計画的に敢行したテロと認めた」と発表。それを詳しく述べた「捜査結果概要」と称する書面を警視庁のホームページで発表した。

 犯人扱いされた教団は、東京都と警視総監を相手に損害賠償請求の裁判を起こした。そして、名誉毀損を認め、100万円の賠償を都に命じた判決が、2014年に確定した。立件もできなかった事件で、特定の団体を犯人視する発表を行ったのだから、都の敗訴は当然だろう。都民の税金が、賠償金として教団に支払われる結果を招いたことに、警視庁は猛省が必要だが、その様子は見られない。

検証も反省もせず、体質はそのまま…では
 幹部が当初の筋立てにこだわり、組織がそれに引きずられ、捜査員らはそれに抗えず、異論は無視されて暴走する。この構図は、今回の大川原化工機事件も同様なのではないか。長官事件の時に、真摯に検証を行ったり教訓をしっかり学んだりせず、組織としての体質や捜査の手法を改善しないまま今に至った結果が、今回の事件のように思えてならない。

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何のための公安委員会か
 しかも今回は、何ら犯罪を犯していない企業とその関係者が被害者である。相嶋さんは、本件で逮捕・勾留されていなければ、もっと早く治療を受けることができ、命を失わずに済んだかもしれない。結果の重大さを考えれば、都はすみやかに控訴断念を決め、都公安委員会は警視庁に検証や再発防止を求めるべきだろう。今、動かなければ、何のために公安委員会があるのか分からない。

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「同じ判断をする」と断言した検事は今も…
 検察が、起訴を取り消して刑事裁判を自ら終結させたことについては、一定の評価はできる。ただ、今回の塚部検事がやるべき捜査をやらないまま起訴した、という裁判所の指摘については、検察は組織として真摯に受け止め、なぜこのような冤罪作りに検事が加担してしまったのかを検証すべきだ。

 塚部検事は裁判で「同じ状況になったとしても同じ判断をします」と述べ、相嶋さんらに対する気持ちを問われても、「勾留・起訴の判断に間違いはないので、謝罪の気持ちはありません」と言い切った。これだけの冤罪被害を引き起こしながら、自省もないまま、今も千葉地検という捜査の現場にいることに、戦慄する。これでは、そう遠くないうちに、次の冤罪被害者が出るのはないか。

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また、判決は塚部検事の勾留請求についても違法性を認めているが、勾留を巡る検察官の対応が問題になるのは、今回ばかりではない。否認している被告人について、検察は徹底して保釈に反対し、認められても異議を申し立てて長期の身柄拘束を行おうとする「人質司法」は、かねてから問題になっている。

 長期の身柄拘束がどれだけの被害をもたらすのか、検察庁は本件から学び、真摯な反省と対応の改善をしなければならない。

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「人質司法」の最大の要因は
 原告は訴訟の中ではあえて裁判所の違法を問わなかったが、検察側の言うがままに、長期の身柄拘束を認めてきた張本人とも言うべき裁判官らの責任も重大だ。

最後まで保釈は認められず
 相嶋さんは、8回も保釈を求めたのに、いずれも認められなかった。やむなく、期限を区切った勾留の執行停止という形で入院したが、期限延長がなされるかどうかは分からない不安定な立場のまま亡くなった。

 判決は、相嶋さんや遺族が被った被害について、次のように言及している。

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2023-12-28_211329_裁判官らは、検察官の「違法な勾留請求」や保釈への反対意見を受け入れて、勾留を許可し、度重なる保釈申請を退けてきたのだ。  高田弁護士.jpg


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