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ボローニャ戦 〜試合中のシステム変更によって再び繰り返してしまった自滅〜

リヴァプール戦から、中3日で行われたボローニャ戦。付け焼き刃のシステム変更で楽々勝てるほど、フットボールは甘くない。

ナポリはCLリヴァプール戦から、フォーメーションを4-4-2から4-3-3に変更した。そこには引いた相手に崩しきれない直近のリーグ戦から脱却したい意図が見られた。メンバーとしては、メレト、マリオルイ、アラン、メルテンスに代えてオスピナ、インシーニェ、エルマス、ジョレンテが入った。基本的な並びは上の通りで、守備時もリヴァプール戦時のような4-4-2は見られずこの並びのまま前からアグレッシブに押す形が見られた。

前半

前半から攻撃に人数をかけ、前に出たナポリは多くのチャンスを作った。9分、ジエリンスキからのパスをバイタルエリアで受けたファビアンが反転してシュート。狙いとしては悪くなかったが枠を捉えられない。
 
対するボローニャは冨安のクロスをファビアンがクリアミスしたところを、ジェマイリがボレー。これは惜しくも枠を逸れたが決定機。
 
その後はナポリが多くのチャンスを作り出し41分、カウンターで3対2の状況を作り出したインシーニェが中に切り込み、キーパーにとっては処理の難しいバウンドするシュートを放つ。これは弾かれてしまうが、こぼれ球をジョレンテがきっちり押し込み先制。多くチャンスがあった中で、1点しか取れなかったのは課題だが、リードした状態で前半を終える。

4-3-3への変更は、上手くいっていた。ビルドアップの際はジエリンスキが降りてくる形も見られ、狭いスペースでのボールタッチに秀でたこのポーランド人MFは中々に良い味を出した。また、ロサーノとインシーニェは4-4-2の時よりも広いスペースを存分に活用し、スピードを生かしてチャンスを創出した。後半は早い時間帯に突き放すことができればまず負けないように思われた。

後半

後半立ち上がりも、ナポリは自分達の攻撃ができていた。55分、先制時と同じようにインシーニェがカウンターの流れで4対3を作り出すと、中央に切り込んで、シュート。コースも一本目より際どいものだったが、キーパーのセーブに遭う。
 
ここまで、良い流れを継続していた。しかし、直後の57分、クロスのクリアがオルセンの足下に転がってしまい、いささか不運な形で同点弾を許す。

勝ち越したいナポリはエルマスに変えて、メルテンスを投入。システムを4-4-2に変更した。すると交代直後の67分、ファビアンからの楔のパスを受けたインシーニェがメルテンスへ落とし、挨拶がわりのミドル。これは惜しくも枠を逸れてしまった。

78分にはジエリンスキからのパスをペナ角で受けたロサーノが2ライン間へ走り込んできたメルテンスにパス。これ以上ないチャンスだったがメルテンスはこれをふかしてしまう。

チャンスは多く作るものの、2点目を奪えないナポリ。4-4-2へのシステム変更も、逆に停滞感を生んでしまい、スタジアムには嫌な雰囲気が漂い始める。

やはり80分、マキシモビッチがボールを奪われた流れから、最後は裏抜けしたサンソーネに決められてしまう。

攻めるしかなくなったナポリだが、枠を捉えられないミドルシュートに終始し、決定機を迎えられない。しかし95分、クリバリの裏へのパスに反応したジョレンテが巧みなトラップからシュート。これがゴールネットを揺らし、土壇場で同点に追い付いたかに思われた。しかしこれは無情にもオフサイドの判定。結局試合はこのまま終了となり、8戦勝ちなしとなった。試合後のスタジアムでは勝てないチームへの怒り、叱咤、激励等感情の入り混じったブーイングが響き渡った。

考察

勝てなかった理由をいくつかにわたって考察して行きたい。

①アラン不在

 このチームで最も欠かしてはならない選手の1人を欠いた。たらればをいってもしょうがないが、もしエルマスと変わったのがアランだったら…とは思わないでもない。とにかく、プレッシングの強度はリヴァプール戦から明らかに落ちたし、行くべきか否かの判断も曖昧だった。

②中盤の頭数不足

①の考察と被る部分があるかもしれない。4-4-2へのシステム変更は、”せざるを得なかった”という認識の方が合っている気がする。ベンチのメンバーを見ればこれは明らか。せめてもう一枚中盤のプレイヤーがいれば、4-3-3のまま押し切れていたかもしれない。

③ミドルシュートの多用

上のスタッツから分かる通り、シュートは30対11と圧倒。しかし、驚くべきことにその半分以上の16本がペナルティエリア外からのミドルなのだ。しかも、その内の枠内へのシュートは数えるほど。対してボローニャは、効率よく枠内へのシュートを重ねた。枠内にも入らないシュートがゴールに突き刺さるわけもなく、これでは1得点なのも納得である。

④システム変更

 確かにエルマスのプレーは素晴らしいものではなかった。しかし、だからといって交代までしてフォーメーションを変えるべきだったか、というとそうではなかったように思う。4-4-2への変更後、攻撃に停滞感が漂ったのは明らかで、受け身になったところを上手く突かれたというのが最も大きな敗因であるように思う。

まとめ

今回も勝てなかった。しかし、私は全く悲観していない。それは、監督の意図を正当に実行しようとする姿勢がここ数試合は出ていたように思うからである。今日の試合は勝てていてもおかしくなかった。攻守においてディテールさえ改善し、ミリクをはじめとする怪我人が戦列に復帰すれば自ずと勝てるようになるのかな、と気長に待つ姿勢こそが今最も大切であるに違いない。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。(この項・了)