『短歌人』2020年1月号掲載五首

トンネルの出口に霧は遮りて行方不明の捜索の声

夕暮れに濃き紫の空になり光うしなふ地上の国は

秋さきのラベンダー五本摘んできて居間の大きなテーブルに置く

友撮りし佐渡のカマキリつぶされてよこたはりをり鎌振りおろし

一本のバナナは吾を滑り落つ昏きこころのきざはしのはて