『短歌人』2021年10月号掲載五首

絶望がまだまだ足りぬヴィヨロンを弾くといふこと雲上のこと

人を待つ時間はやがて煮詰まりぬ梅雨の最後の空濁りたり

朝明けの水まきをする庭にゐてダックスフントを抱く人がゆく

アジサイが花芽をつけし七月は咲くにはすでに遅すぎた夏

珈琲を続けて二杯青空があをさを増して来る頃に飲む