『短歌人』2021年03月号掲載五首

木枯らしが師走をなでて空はるか乾く空気に冷えてゆく肺

川上へ向かふ白鳥なつかしく霜降る里にいま帰りきぬ

冬の日の凍れる空気ここちよく白く吐きだす蒸気のかたち

冬薔薇は小さきつぼみ艶やかに紅いろ霜をのせてかがやく

霜の日の薔薇のつぼみの紅しみて朝日射しこむときかがやきぬ