『短歌人』2019年1月号掲載五首

朝日さし野分きの残る山並みを風に向かひて南へはしる

横になる けだるさ 微熱 真っ直ぐに子規のやうには詠へやしない

まだ青さのこした柿を剥いてみる微か甘きは夏の結実

ゆふがたの光は部屋の奥へさへいつもの壁にちがつた影絵

灼熱の棘を脱ぎ捨てやはらかな光は示す窓の形を