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霧野
霧ふかき野は野でしろい霜がふり氷点下の朝冷えていく土地
返歌
学長は声が大きい好好爺
物理学教授は外耳道から毛がはみ出した皮肉屋
社会学教授はショートカットの鋭い女史
もうみんなこの世を去って
いまは誰も彼も不在な秋がきた
おれを見下した人びとも
今は地面の下だ
濃い霧があふれる朝
川原には真っ白な霜が降り
午後になったら薄が靡く 夕焼けに
その気になったら訪ねていこう
透明な歌声を耳の奥に響かせ
オルフェウスのように
訪ねていこう
華やかだったあの人たちを
いつの時もたった独りで働いている
キュリオシティに合図を送る
そっちは今も砂嵐かい