『短歌人』2020年10月号掲載五首

金属の重さは落ちて行く 何処へ 鉛直に指す胸の中心

十八の春に迷ひし山道の遠く向かうに呼ぶ声のあり

朱の色を散らした柘榴 花のない庭になにかを見守るやうに

重力は今日も仕事をしてくれる静かに淹れる珈琲かをり

ラッキョウに白ワインなら合ふだらう刺激が欲しい梅雨空のもと