『短歌人』2018年3月号掲載五首

最期には息を吐くのか水よりも冷えた空気が喉を出ていく

満月に気づかないまま横たわる暖かき家は遂に遠かり

沸き上がる泉の底の砂粒のきらきらとした営みの日々

朝捨し氷が昼も融けずあり世界に残る熱が少ない

味噌ラーメン食べ終えしのち厨にて乗せ忘れたるゆで卵ひとつ