『短歌人』2017年1月号掲載五首

焦点の合はぬ瞳を見下ろして彼岸の底を覗く心地す

二日ぶり家に居たれば幾たびも吾が膝に乗る猫の寂しき

秋祭り終はれば街は寒くなるヘッドライトの明るさ眩し

うねうねと空を横切る黒雲と鴉の声に胸騒ぎする

緑なる沼の姿は山肌と空を映して満ち足りてをり