『短歌人』2016年8月号掲載 五首

二十五年使ひしアンプなにごとか音が小さく籠りたる朝

ボリユームを最大にするアンプから囁き漏れるだけ 壊れたり

次々と家電の故障襲ひきてもう諦めて過ごせうつしよ

みどりの日一日過ごすいたづらに山には青葉の繁れるものを

塩をふりいさきを焼けば初夏の磯の香りの皮は芳し