『短歌人』2018年1月号掲載五首

花散らす金木犀は明るかり役目を終へて立ち去るそばに

草ぬけばバッタコオロギ飛び出しぬ悪いことをばしてしまひけり

線香は灰とのこりて護りたりひとり庭にて草引く吾を

祖母は吾にそつと小遣ひ渡したり母の視線の逸れてゐる間に

祖母の家に囲炉裏ありけり吾が脚に記録は残るケロイドとして