『短歌人』2017年3月号掲載五首

初雪の残る庭には餌台がじつと立ちをり小鳥を待ちて

新しきソムリエナイフが中指に掠れば赤きものの滴り

約束を何度もなんども反故にして知らぬ間に咲く紫すみれ

かすれたる声がするなり足元に黒き猫をり吾と目が合ふ

木枯らしが今日は止みしもみのむしは小楢の枝に揺れ続けをり