『短歌人』2017年12月号掲載五首

こんなのは苦労ではないいつの日か滋養になると思へ 思へない

潜りたる水深四十メートルでレギュレータが壊れるよりまし

節約に夜行のバスに乗りたらば見知らぬ道を峠へ向かふ

百日紅咲き残りたる憂き庭に酒こぼしたり花こぼしたり

引つ掛かる小指の先のささくれを引つ張るやうに長雨のふる