『短歌人』2018年9月号掲載五首

雨上がり水溜まりには空があり今日いちにちの終はり始まる

金管のかがやきめぐる木星に土曜の朝はみづみづしけれ

摘みに来し薔薇はさくらに似てるでせう隣りに居ないひとに呟く

茜さす桜桃を夢に捧げたりゆつくりと種はくちびるに触れ

買うてきたバナナを吊るす 「君はまだぶら下がってる」暗示に掛けて