『短歌人』2020年5月号掲載五首

冬晴れの日ざしをうけて穴を掘るふかく今年も薔薇のとなりに

くろぐろと馬の堆肥は株をうづめ薔薇と馬とが交じりあひたり

焼きたてのアップルパイの温かく口に崩れるパイのさくさく

たそがれに子供の声が川むかう沈みゆきたりおおおいおおい

あのときの挫折を思ひだしてをり 入試の終はる夕べきさらぎ