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『雲の色とか』

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既発表の自作短歌を集めています。 H26年1月~現在。 H28年「異人の祈り」にて第一回石井僚一短歌賞候補 H28年7月号から短歌人会。
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2018年7月の記事一覧

『短歌人』2018年8月号掲載五首

われわれは六割が水 まぶたから乾きはじめる断水の夜

五月の葉そよぐ光に名をつけて夕ぐれ庭に耳打ちをする

鳥はなぜ放電線で啼くのだらう重く垂れ込む雨を待つ空

ぴかぴかのさくらんぼうともやもやの枇杷の実のある六月の朝

朽ちてゆく重さに耐へず花びらはどさつと我が身を机にさらす