「ただいま魔力暴走中!」天才魔導剣士ヴィクター/血塗られた祝宴篇 第二章②
翌朝、前後左右に薔薇をモチーフとした王家の紋章が入った美しい純白の二頭立て馬車が颯爽と王宮を出た。乗っているのはセレナとアレクシス、それにヴィクターだった。周りには近衛剣士団の四名が馬で付き従っている。その内の一人はマクセルだった。
「何だか大ごとになってしまいましたね」
ヴィクターは「自分の都合で家に帰るだけなのに」と恐縮していた。
実は王宮からヴィクターの生家であるブラックソーン家まで、さほどの距離はなかった。子供の足でも歩いても行けるぐらいだが、この大げさな態勢も