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ダウン症のある息子が教えてくれた、障害者の教育と就労

今回は、ダウン症のある息子を持つ母の視点から、障害者の教育と就労について書きたいと思います。

障害者の法廷雇用率が2.3%に引き上げ、どういうこと?

障害者の法廷雇用率とは、厚生労働省が義務付けている障害者の雇用割合のことを指します。

事業主はこの法定雇用率を守ることが法律で義務付けられていて、その割合は民間企業、国、地方公共団体によってそれぞれ異なります。

平成30年4月からは身体障害者と知的障害者に精神障害者も加わり、法廷雇用率も引き上げられました。

障害者雇用の現状と課題

障害者の働く意欲は高く、職場で働く環境や支援態勢も進んできたこともあり、企業で働く障害者の数は年々増加しています。しかし、雇用は増えているものの、法定雇用率を達成している企業割合は50%を下回っているという現状もあります。

また企業内では問題も起きています。例えば、せっかく雇用したにも関らず、すぐに辞められてしまったり、障害者自身が企業の戦力になっていないということなどです。

問題は多岐に渡りますが、企業や社員が、障害のある社員を1人の社員として、また、1人の戦力として向き合うことができていないという根本の原因があると考えています。

ダウン症のある息子の教育と就労

息子の良太はダウン症で、知的障害もあります。小学校に入学する際、勉強はできなくても皆との距離が少しでも近づくように、「ありがとう」「こんにちは」「ごめんなさい」の3つの言葉を覚えさせました。

学校には毎日のように足を運び、できることとできないことを詳しく説明しました。最初は周りの子どもたちも良太を避けたり、良太がルールを守らなくても何も言わなかったのですが、私から子どもたちに「良太がルールを守っていなかったら注意してほしい」とお願いしました。

良太にできることは頑張らせたいという向き合い方は、結果的にみんなの協力を得て、受け入れられ、みんなと一緒に楽しく学校に通うことができました。

現在は就労支援施設で働いていますが、1つ目の施設ではコミュニケーションが取れず、ストレスで仕事に行けなくなり、半年以上の引きこもり生活となりました。今の施設に変わってから4年が過ぎましたが、こちらではできないことではなく、「できること」に目を向けて仕事をさせてもらっています。

モチベーションの維持とコミュニケーション

知的障害の特徴に、モチベーションの維持が難しいということがあります。私と良太と施設のスッタフの方も、良太がやる気を出すための工夫を日々、試行錯誤していています。

また、良太が見てわかる予定表を作ることで、安心して仕事に向き合えるようにもなりました。こういった工夫を行うことで働く意欲を高めています。

(写真は良太が弊社オフィスにて書籍の送付作業をお手伝いさせていただいた時のものです)

知的障害者の就労と教育においては、コミュニケーションを取り続けることや周囲の理解と工夫が不可欠だと考えています。

遠慮はいらないが配慮は必要という向き合い方が大切だということです。

身体障害者と知的障害者・精神障害者の違いとは?

そこには慣れという問題があります。車いすに乗っている、目が見えない、耳が聞こえないという障害と比べ、知的障害者や精神障害者についてはまだまだ見慣れないという現状があると思います。

見たことがない、分からない、経験がないという「ない」から始まる不安のせいで、学校や職場でも適切なコミュニケーションが取りづらいという状況があります。

歩み寄るコミュニケーション

まずはお声がけについてです。

「大丈夫ですか?」と聞かないこと。人は大丈夫ですかと聞かれると、大丈夫ですと答えてしまいがちです。また、考えを伝えられない人もいるので、次に何をしたいのか、具体的な例をあげて尋ねましょう。

人によっては、適度に休憩が必要、騒がしい場所が苦手でパニックになる、という特性もあります。

「時間・コミュニケーションの方法・環境」といった働く仕組みを、人によって変えていくということも必要です。

時間がかかりますので、失敗や壁を乗り越えながら、根気よく向き合い続けることが大切です。

これからの展望

法の後押しもあり、企業で働く障害者が増えるため、職場のみならず街中で見かけたり、手助けをする機会も増えてくると思います。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えれば、障害者と接する機会は更に増えます。知的障害者、精神障害者の方は1人ではなく誰かと出歩く事が多いという特徴もありますが、家族や介助者も同じ不安を感じています。

まずは声をかけやすい雰囲気づくり、情報提供などの文化を醸成する必要があります。それが結果的に教育、就労にも波及していけばいいと考えています。



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